2004/3/17 3/18 投稿者:ritonjp

       第九 「惚れ薬之巻」

 斯かる折から穴沢佐栗、漸う君の御行方を尋当て此処え来たり。吉光君の耳に口、うち囁けば、笑はせ給い、
「大方左様で有つらん、其の用意に」と蔀に謂い付け、取寄せ置いた、黄金千両
「夫れを取らせて斯う斯うせよ」ト仰せを受けて
「夫れならば恨み処か大喜び、さぞ有難く存知ましょう」ト云いツッ佐栗は蔀より金千両を受取って、僕に負わせ道を早め、来るとは知らでうち腹立つ、浅香は縁に端居して長い物には捲かれろと、喩えに謂えどあんまりな手妻遣いの懐より、未だ怖ろしきあの替玉、吉光様でなかろうなら、其の往く先を追い駆けて、赤恥かかすも知っては居るが、左様したならば、娘の音勢が身に、祟りが在ろうと其れも出来ず、悔し涙を堪える辛さ、佐栗男もちょちょら者、騙して何処え逃げおったか、ホンニ是だ如何したら、腹が癒え様と、此方の空をつち眺めツッ繰言の恨み烈しき折こそ在れ、
「浅香は内か」と入り来る佐栗、其れと見るより佐栗が胸逆手執らんとする手を緊と押さえ
「抱いて寝たときや可愛いの、三百篇も言い乍ら、気を遣り続けて死ぬ死ぬと言ったを今更忘れてか。喩え此の身は替玉でも、満更憎うは在るまいに。何で其様に腹立つのじゃ。然し君にも気の毒との仰せに附け込み金千両、申し請けてお前へ進ぜる。是は御前の思し召し、とは言えわしが骨折りで、申し請けたもお前が慈しさ、其の心汲み採って、呉れても宜では在るまいか、」ト言うに浅香は顔叛け、傍えを見れば千両箱、是は夢かと流石に仰天、其の腹立ちも何処えやら、失せてにっこり
「是はまぁ正真かェ」ト言わせも敢ず
「ほんの嘘のと其様な疑り深いも程が在る」ト蓋打ち開けば山吹の花の露そう井手ならで魂消る果てたる斗り也。
 其の時佐栗は摺り寄りて、
「何と何様じゃ」ト浅香が膝を、とんと敲けば其の侭に、佐栗に簸たといだきつき、
「暫いう実の在るお方とは、今まで知らぬ盲目も同然。
 一度なりと吉光様のお寝間を穢し御情けを、請けたは冥加と申すもの。腹を立てたは、料簡違い是からは申し佐栗さん、娘も居らぬ独住み、不憫を懸けて下さりませ」ト実に惚れ薬は佐渡が嶋より出るが一番利道と川柳点も嘘ならぬ、佐栗は心に仕すましたり、少し萎れし花乍ら未だ色香も滅うせず、殊に仕こなし如才なく、また開中の味と謂い、多く得難き年増女の手取、興在る事に思いツッ、其の侭直ぐに口と口、チュウチュウ吸えば舌の根の限りを出して快く吸わせ乍ら手を延ばし佐栗が股へ差入るる。
 其の時佐栗が一物はヅキンズキンと勃起たちて、木よりも硬く筋張りしを、浅香は頭を下げてチュパチュパと嘗め廻し、亀頭を懇ろに持成すに佐栗の矯びいかばかり。
 また朝香は無手と握りつめ、雁首の辺りを摘まみ、または撫で、余念もあらぬ有様に、佐栗も浅香が内股へ、手を入れて見れば吐淫の滑りズルズルとして手も附けられず。
 然らばと佐栗も浅香が両足を左右に広げ撥ね揚げ、内股下腹矯水滴る尻から淫門紅舌と、股座中を嘗め回し、果ては開中に口をば就け、ジュルジュルと滑りし吐淫飲み下し、猶も辺りを舐めつくし、さては十分萌したり。
 此の期を外さず強かに精を遣らして、娯しまんと、すぐさま一物を割り込んで、玉門の口に臨ませて、浅くチョコチョコ突き回せば、朝香は最早夢中になり、へのこの亀頭がこつぼの口へ、はや届かぬに
「アヽそれイィ」との大矯り。
 大腰小腰に持ち上げ、上下左右に尻廻し淫門が奥へ一物届かせんと攻め立つるに、グウゥグウゥスゥスゥ死ぬ死ぬと、鳴たつるは実に猪が鼻嵐を吹きたつるに異ならず。
 佐栗も是に浮かされて、
「アヽわしもソレイクイク」
 ドクドクと互いの大矯り、死ぬ事、数十度と地軸も砕くるばかりに見えにけり。

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