日本の色 リンク⇒ 桃色系 赤系 柑子系 茶系 黄系 緑系 青系 紫系 白・灰・黒系 戻る
桃色系 赤の色相の明るい薄い色の系統が桃色系です。
 ピンクは英語の基本色彩語のひとつですが、英語以外のヨーロッパでは薔薇色が基本色彩語です。
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#fde3dd 一斤染いっこんぞめ。紅花から濃い紅を染めるには大量の紅花と複雑な工程が必要。平安時代には濃い紅は禁色として着用が制限され、薄い紅色が「聴し色ゆるしいろ」とされた。絹一疋二反を一斤六百グラムで染めた薄い桃色色。
「色ゆるされたる人々は、例の青いろ赤いろの唐衣に」紫式部日記
#fcdedc 桜色さくらいろ。桜には様々な種類があり、最近では染井吉野が一般的だが、色名が使われていた時代では山桜が一般的。薄い紫みの桃色を表す。
「木花之開耶姫コノハナサクヤヒメ」の「サクヤ」が桜の語源。
「桜色に衣は深く染めて着む 花の散りなむのちの形見に」紀有朋/古今和歌集
#f6b3ad 鴇色ときいろ。今は絶滅しかかっている鴇も江戸時代までは各地でよく見られた鳥。その鴇が飛ぶ時に見せる風切羽の色に似た桃色。
「朱鷺色」、「時色」とも表記。
「鴇色に銀の雨を刺す針差を裏に」夏目漱石/虞美人草
#ed9ea5 撫子色なでしこいろ。秋の七草である撫子は花の可憐さから「愛しい子」を表す「撫でし子」に由来した名前。その花の色である紫みの桃色。
「石竹色せきちくいろ」も同じ色のこと。赤みが強い色は「唐撫子からなでしこ」。
「象眼の紅の単衣、同じ御直衣、色いと濃き唐撫子の浮線綾の御指貫、余りをどろをどろしき御あはひ着給へるも、この世の色とも見えずなまめかしくて」狭衣物語
#ee98a0 紅梅色こうばいいろ。紅梅の花の色から名付けられた伝統色名。万葉の時代は花見といえば観梅のこと。染色のみならず襲かさねの色目としても愛好された。元は紅花で染められていたが、江戸時代にはスオウで染められ広く普及。「御返しは、紅梅の薄様に書かせ給ふが、御衣の同じ色ににほい通ひたる」枕草子
#f08a8c 桃色ももいろ。桃の花の色からとられた古い伝統色名。古くは桃染の色のこと。「日本書紀」にも「桃染布」という言葉が残っている。
衛士などあまり位が高くない者の着用する色。
「帷子は広袖に桃色のうら付けを取出せ」井原西鶴/好色五人女
#f29390 珊瑚色さんごいろ。赤みのある珊瑚は昔から装身具によく用いられていた。
赤珊瑚、桃色珊瑚の色からついた色名。
コーラル桃色よりやや色鮮やかとされたが、現在ではほぼ類似の色を表す。
#f08a69 東雲色しののめいろ。明け方の東の空の色を表す浅い黄みの赤。「曙色あけぼのいろ」ともいう。曙染めという、裾の部分を少し白く残し、その上を紅や紫や藍などでしだいに濃くぼかしながら染めていく模様染めが江戸時代に流行。
「十八歳で姿の好い女、曙色か浅緑の簡単な洋服を着て」石川啄木/葬列
#db928d 退紅あらぞめ。「退」は「褪」と同じ意味で、「褪せた紅」のような薄い紅色を表す。「粗染」、「洗染」とも表記する。紅花は定着しにくいので、キハダやウコンで下染めしたため黄みをおび、にごった色となった。
「くれなゐの薄染衣 浅らかに相見し人に恋ふるころかも」万葉集 巻12
#c1666a 薄紅うすくれない。紅の薄い色を表す。濃いものは「濃紅こきくれない」、「唐紅からくれない」などと呼ばれる。薄いといっても退紅よりも濃い紅色をさす。
「類ひなき思ひいではの桜かな うすくれなゐの花のにほひは」西行/山家集
#917570 梅鼠うめねず。「うめねずみ」と読むことも多い。赤みの鼠色を表す江戸時代の染色名。この時代の色名に「梅」の字が付いていると、一般には紅梅に関係があって、赤みがあることを示す修飾語とされる。
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赤系 染料や顔料の色として最も古くから知られおり、最古の色名の一つです。
 日本語の赤の語源は「明かし」と言われていますが、他の言語では血に由来するものが多いようです。
#d67b6a 辰砂しんしゃ。天然の硫化水銀の原鉱を朱砂、真朱という。
中国湖南省辰州産が有名だったのが名の由来。万葉集で「まほそ」と歌われているのもこの色のことではないかという説もある。「真金まかね吹く丹生にふの真朱まそほの色に出て言はなくのみそ吾が恋ふらくは」万葉集 巻14
#cb3b5a くれない。「中国呉・くれから伝わった藍」という意味の「呉藍くれのあい」が転訛したもの。この時代の「藍」は染料一般を指す。紅花西アジア原産キク科カルタムス属の一年草はもっとも古い染料の一つ。6世紀頃、日本に伝来したが、非常に高価な染料。秘めた熱い想いを表す言葉として歌に詠まれた。
「人しれずおもへばくるし紅の すゑつむ花のいろにいでなむ」古今和歌集
#c34e5d 今様色いまよういろ。「今流行の色」という意味。「今」とは平安時代。
「濃き赤きなど、さまざま選らせたまひつつ、………紅梅のいと紋浮きたる葡萄染の御小袿、今様色のいとすぐれたるとは、かの御料」源氏物語
#d45695 牡丹色ぼたんいろ。牡丹の花のような鮮やかな赤紫色。襲の色目には古くから用いられる。色名としては鮮やかな色が再現可能となった化学染料が普及した明治以降に定着。「トルコ模様を織出した牡丹色の帯」小栗風葉/青春
#e12e78 躑躅色つつじいろ。赤躑躅の花の色から名付けられた明るい赤紫色。
平安時代から使われている伝統色名。
「汗衫かざみは春は躑躅。桜。夏は青朽葉。朽葉」枕草子
#d13829 緋色ひいろ。茜染めのわずかに黄みをおびた鮮やかな赤。もとは「緋あけ」、「真緋あけ」といい、明るさを意味する「あか」と同じ意味をもつ。
火に通じ「火色」とも記す。「思ひ」の「ひ」にかけて「思ひの色」とも呼ばれる。情熱の色。
「玉くしげ二年会はぬ君が身を 緋あけながらやはあらむと思ひし」後選和歌集
#db3324 猩々緋しょうじょうひ。中国の空想上の獣。顔は人間、声は小児で髪は長く赤い。
その血はとても赤く、インド人はその血で紅を染めるといわれていた。
猩々の血のような強く鮮やかな赤。
「猩々緋の道中羽織白い所は髪斗」浄瑠璃 丹波与作待夜の小諸節
#e64d46 朱色しゅいろ。人工の硫化水銀の色で、天然朱よりも鮮明な黄みの赤。
「銀朱ぎんしゅ」とも呼ばれる。古代中国の五正色の一つ。
方位は南朱雀、季節は夏朱夏。権威の象徴としての色。
「細い行の間へべた一面に朱を入れた何枚かの原稿を」芥川龍之介/戯作三昧
#d55431 丹色にいろ。丹は「赤い土」の意味。古代の赤い顔料は、酸化鉄、硫化水銀、酸化鉛などがあり、すべて「丹」ともよぶ。酸化鉛の鉛丹も丹色といわれる。「鉛丹色えんたんいろ」ともいう。
「春されば花咲きををり秋づけば丹の穂にもみつ・・・」万葉集 巻13
#b30651 唐紅からくれない。濃い紅「濃紅こきくれない」のこと。「韓紅からくれない」とも記す。
「唐」、「韓」は舶来の意味を表す。「紅赤べにあか」という色名も。
「ちはやぶる神世もきかずたつた川 から紅に水くくるとは」在原業平/古今集
#a70036 茜色あかねいろ。アカネで染めた暗い赤。赤い根をもつアカネ科の一年草で、藍とともに最古の染料の一つ。モヘンジョダロ遺跡からもアカネ染めの木綿が出土。「茜さす」は「日、照る、紫」などにかかる枕詞。
「茜さす昼は物思ひぬば玉の 夜はすがらに哭のみし泣かゆ」万葉集 巻15
#a2113d 臙脂色えんじいろ。濃い赤をさす。「臙」は燕えんの国に由来するといわれ、中国渡来の発色材の名前。植物性は正臙脂、動物性は生臙脂と区別する。
色名は人工染料で発色が可能になった明治以降に定着。
「臙脂色は誰にかたらむ血のゆらぎ 春のおもひのさかりの命」与謝野晶子
#853953 蘇枋色すおういろ。くすんだ紫みの赤をさす。スオウはビルマ、インドなど熱帯地方原産のマメ科の低木。日本には奈良時代に伝わり、広く普及した染料。
紅花や紫に代わって赤系や紫系の染色にも用いられた「似紅にせべに」、「似紫にせむらさき」。「紫の上は、葡萄染にやあらむ、色濃き小袿、薄蘇芳の細長に、御髪のたまれるほど、こちたくゆるるかに」源氏物語
#7b3030 小豆色あずきいろ。小豆のようなくすんだ赤。栽培の歴史は古く、「古事記」にも記されているが、色名として定着したのは近世。「溜色ためいろ」も同じような色を表すが、漆塗の溜塗に由来する色名。「違棚の高岡塗は沈んだ小豆色に古木の幹を青く盛り上げて」夏目漱石/虞美人草
#5f372f 檜皮色ひわだいろ。檜の樹皮のような暗い灰みの赤茶色。「樹皮色きはだいろ」ともいう。平安時代からの古い色名。ヒノキの語源は「火の木」。
火を起こすのに用いられたことに由来。
「姫君、檜皮色の紙のかさね、ただいささかに書きて」源氏物語
#60112a 葡萄色えびいろ。古くは葡萄は「えび」と読んだ。エビカヅラともよばれるエビヅル各地に自生するヤマブドウの一種の熟した実のような暗い赤。
「葡萄染えびぞめ」ともいう。「紫の上は、葡萄染にやあらむ、色濃き小袿、薄蘇芳の細長に、御髪のたまれるほど、こちたくゆるるかに」源氏物語
#4c160c 海老茶えびちゃ。葡萄色えびいろの「えび」が「海老」と混同され、伊勢エビの殻のような暗い茶色をさす色名。近代になって定着。明治の女学生の袴の色として普及し、「海老茶式部」という学問をする女性のあだ名が生まれた。
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柑子系 赤と黄色の中間に感じられる色相を表す日本語の基本色彩語は存在しませんが、ヨーロッパの言語ではオレンジが基本色彩語として広く用いられています。
#d6a58d 赤白橡あかしろのつるばみ。橡つるばみは団栗の古名。染料としては団栗は使用されす、黄櫨はぜの黄褐色と茜の赤で染められたもの。
上皇が着用する色として禁色の一つ。
#ec7c4f 赤朽葉あかくちば。植物の葉が落ちて腐った色を表す色名に「朽葉色くちばいろ」がある。「朽葉四十八色」といわれるほどさまざまな色があり、赤く紅葉した葉が朽葉になった時の色をさす。
「月数という鎧の、朽葉色の唐綾にてをどしたるを」保元物語
#f1a04a 萱草色かんぞういろ。ノカンゾウユリ科の多年草の明るい黄みの柑子色の花から生まれた色名。は喪服中に着る凶色。「ほどなき衵あこめ人よりは黒う染めて黒き汗衫かざみくわむざうの袴など着たるもをかしき姿也」源氏物語
#eb7650 黄丹おうに。「黄丹おうたん」はもとは顔料の鉛丹の別名。ベニバナとクチナシで染めた染め色が、鉛丹の色に似ているため付いた色名。強い柑子色。
八世紀以来、現在も皇太子の袍の色。かつての禁色の一つ。
「皇太子礼服 礼服冠。黄丹衣。」令義解
#ec9007 柑子色こうじいろ。日本古来のミカンの種類である柑子の実に由来する色名。
鮮やかな黄みの柑子。柑子色よりも黄みによった色をさす。
「いまだ色なりければ、かうじ色の袴着て、にぶ色のきぬどもきて」十訓抄
#cc5825 樺色かばいろ。桜の樹皮のような濃い赤みの茶色。
蒲の穂のような色でもあるので「蒲色かばいろ」ともいわれる。
茶みが濃いものを「樺茶かばちゃ」、「蒲茶かばちゃ」という。
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茶系 柑子が暗くなり濁った色です。日本語の茶色は基本色名ではありませんが、準じて使用されています。
 英語のブラウンは古くから用いられている基本色彩語です。
#dec19b 白茶しらちゃ。薄い茶染の色。
「白茶ける」という形容は、茶の色がさめて白っぽくなったことを表す。
#dfc394 香色こういろ。丁字などの香木を用いて染めた色。
香木で染めるため、ほのかに香がただよう。
#ac8164 丁字茶ちょうじちゃ。江戸時代に流行した丁字染を応用した染色の色。
本来は丁字を使用するが、ベニバナとクチナシによる染色でまがい物の丁字茶も作られた。文化・文政期の女形、五世岩井半四郎が好んで使ったので「岩井茶」ともよばれる。
#e3a96f 朽葉色くちばいろ。植物の葉が落ちて腐った色を表す色名。
「朽葉四十八色」といわれるほどさまざまな色がある。
「月数という鎧の、朽葉色の唐綾にてをどしたるを」保元物語
#bd734e 土器色かわらけいろ。うわ薬をかけずに焼いた素焼きの陶器のことを「かわらけ」とよび、平安時代から使われてきたが、色名として使われたのは中世以降。素焼きの黒ずんだ黄色をさす。
#98563f 団十郎茶だんじゅうろうちゃ。市川団十郎の「家の色」ともいうべき色。
弁柄と柿渋で染めた赤茶色。五世団十郎の人気から色名がついた。
#b67f47 丁字色ちょうじいろ。丁字のつぼみを煎じた汁で染めると香色となるが、それに鉄分や灰汁を加えて染める染色を丁字染という。丁字染で染色した香色よりも濃い色。「宮もおはしけり。丁子に深く染めたる薄物の単を、こまやかなる直衣に着たまへる、いとこのましげなり。」源氏物語
#a97a2f 桑茶くわちゃ。桑の樹皮やその根を煎じた汁に灰汁を触媒に用いて染めた黄褐色。茶色が流行した江戸時代に木綿の足袋の色として珍重された。
#936825 路孝茶ろこうちゃ。宝暦・明和の人気役者二世瀬川菊之丞が中村座の「八百屋お七恋江戸染」で評判をとって流行。緑みの茶色。
#9c7c53 芝翫茶しかんちゃ。文化・文政期の三世中村芝翫歌右衛門がライバルの二世嵐璃寛りかんに対抗した役者色。「栗梅と遠州茶の中間の色」といわれる。
「璃寛茶りかんちゃ」は暗い緑褐色のこと。
#a08847 桑染くわぞめ。桑クワ科クワ属の落葉高木の樹皮やその根を煎じた汁に灰汁を触媒に用いて染めた黄褐色。中国から伝わり、古代から行われた染色。
「桑色くわいろ」ともいう。
#807342 利休茶りきゅうちゃ。江戸時代に千利休の名を勝手に使って名付けられた色名。
「利休」は一般的に緑みのあることの形容に使われている。
#662b18 栗梅くりうめ。普通は梅の字がつく染色の色名は赤みを示す。
赤みのある栗色をさす色名。江戸中期に流行した染色。
#954736 雀色すずめいろ。雀の頭や羽根の色からつけられた灰みの茶色。「雀頭色」とも書く。色名として用いられ始めたのは江戸時代の頃から。夕暮れ時のことを「雀色時」ともいう。「おのづから道急ぐ馬士唄の竹にとまる雀色時、やうやう蒲原の宿にいたる」東海道中膝栗毛
#8c3d2c 弁柄色べんがらいろ。インドの北東部、ガンジス川下流地帯がベンガル地方。
この地方に産する赤褐色顔料が日本に伝えられ色名となった。
天然の酸化第二鉄顔料いわゆる赤土の色。
#805a42 黄櫨染こうろぜん。ハゼノキとスオウで染めたもの。ハゼノキの若芽を煎じた汁に、スオウの煎汁で染め重ね、さらにハゼノキで仕上げるという手間のかかるもの。嵯峨天皇の頃、弘仁11年820年に天皇の袍として定められ、それ以降、歴代の天皇が着用された。
正式の際に着用される袍を黄櫨染の袍という。絶対禁色とされている。
#8c4f3b 柿渋色かきしぶいろ。柿の実からとった色名赤みの柑子ではなく、柿の汁を布や紙に塗って防水、補強したときの色茶系をさす。略して「柿色」ともいう。
中世以降は一般の身分社会を離脱した人々の色と
#785438 櫨色はじいろ。ハゼノキウルシ科ウルシ属の落葉高木の心材の煎汁で染めた色。
「黄櫨色」とも書く。
#746a41 梅幸茶ばいこうちゃ。初代尾上梅幸菊五郎が好んだ緑みの茶色。梅幸の人気は達者な芸にあったので、大流行というより、通人の間で用いられた。
#43150a 栗色くりいろ。クリの実の皮のような灰みの茶色。「落栗色おちぐりいろ」、「栗皮色くりかわいろ」ともいう。「落栗とかや、何とかや、昔の人のめでたくしける色あひしたる、あはせの袴」源氏物語
#675b43 媚茶こびちゃ。昆布茶がなまってつけられた色名。
江戸時代に流行した茶系の色の一つ。享保年間に流行したといわれる。
#37211f 鳶色とびいろ。トビワシタカ科の羽の色からつけられた色名で灰みの茶色。
瞳の色の形容にも使われる。江戸時代に流行した茶系の色名の一つで、「鳶茶とびちゃ」、「黒鳶くろとび」、「藍鳶あいとび」など多くの色名が派生した。
「秋が黄に紅に紫に鳶色にあらふる彩色の限りを尽くした落葉木の」徳富蘆花/思い出の記
#4d4a30 煤竹色すすたけいろ。近世の染色の色名。汚れて赤黒くなった竹のような色を表す。江戸時代、宝暦頃に大流行した色。
「宝暦五年の此より、江戸町々、男女、煤竹色の小袖はやる、羽織も帷子、単物、何れも煤竹なり」加藤曵尾庵/我衣
#444237 仙斎茶せんさいちゃ。江戸時代に流行した茶系の色の一つ。
「千歳茶」とも書く。「仙斎茶後の女房が染め直し」誹風柳多留
リンク⇒ 桃色系 赤系 柑子系 茶系 黄系 緑系 青系 紫系 白・灰・黒系
黄系 黄色は絵の具、染料などの着色材の3原色の一つです。明るく輝かしい色から、光や太陽の象徴とされることが多いです。
 中国の正五色の一つで天地の中央を表し、皇帝の象徴です紫禁城の屋根瓦が黄色なのも皇帝の宮殿であるから
#feefc3 鳥の子色とりのこいろ。ニワトリの卵の殻の色からつけられた古い色名。
薄茶がかった卵の色。
「鳥のこいろのかたびらの、かたのくわっとさけたるに」虎明本狂言・吃
#ecca8f 枯草色かれくさいろ。枯れた野の草のようなにぶい黄色。
「枯色かれいろ」ともいう。江戸時代には、枯れ野見といって郊外の冬枯れの野の景色を見て歩く遊山が流行り、向島辺りがその名所と言われた。
#f2b413 山吹色やまぶきいろ。ヤマブキの花の色からついた色名。わずかに柑子みをおびた黄色。中世にはその色が黄金色に似ていることから、大判、小判を山吹色といった。「やまぶき、うす色など、花やかなる色あひ」源氏物語
#f7c64f 支子色くちなしいろ。クチナシアカネ科クチナシ属で染めた色。「梔子色」とも書く。「口無し」にかけ、「謂わぬ色いわぬいろ」ともいう。黄丹皇太子の袍の色に似ているため、禁色とされた時代もある。
「空蝉うつせみの尼君に、青鈍あおにびの織物、いと心ばせあるを見付けたまうて、御料にある梔子の御衣、聴し色ゆるしいろなる添へたまひて」源氏物語
#dbcc26 黄檗色きはだいろ。幹の内皮が黄色いキハダミカン科キハダ属の落葉高木で染めた強い黄色をさす。漢方では黄柏おうばく、整腸剤として使用。キハダで染めた紙は防虫効果があるため、経文や戸籍などの紙に使用された。
「黄檗に染めたるものは黄なるが如く」正法眼蔵隋聞記
#d5d800 刈安色かりやすいろ。カリヤスイネ科ススキ属で染めたわずかに緑みをおびた明るい黄色。「刈り易い」ことに由来。八丈島を産地とする絹織物、黄八丈の黄色は「八丈刈安」の別名をもつコブナグサで染めたもの。
「地刈安に銀泥にて水を書き、金泥にてかへでを書きたる直垂に」太平記
#ae7c36 琥珀色こはくいろ。地質時代の木の樹脂の化石である琥珀の色からとられた色名。茶みの黄色。古くは「くはく」、「赤玉」とよばれ珍重された。
#987947 黄橡きつるばみ。橡はクヌギブナ科コナラ属の古名。ドングリや樹皮で染めた色が橡色。素染めでは亜麻色に近い色。灰汁を使用して染めた色が黄橡。
庶民の服の色で、地味でも変わらない妻にたとえられる。
「紅は移らふものぞ橡の 馴れにし衣になほ若かめやも」万葉集 巻18
#b9b013 菜種油色なたねゆいろ。アブラナの花のような明るい緑みの黄色は「菜種色」。
その油のような暗い黄色をさす。単に「油色」ともいう。
「細き目に花見る人の頬はれて 菜種色なる袖の輪ちがひ」向井去来/去来集
#786e48 生壁色なまかべいろ。塗り立てで、乾ききっていない壁の色を表す色名。
江戸時代には「藍生壁」、「江戸生壁」、「利休生壁」などの色が派生。
リンク⇒ 桃色系 赤系 柑子系 茶系 黄系 緑系 青系 紫系 白・灰・黒系
緑系 光の3原色の一つで、生命の成長や再生の感情を含んでいる色といわれています。
 「ミド」が語根で、「瑞々し」の「ミズ」と関係すると考えられています。
#aad19e 若葉色わかばいろ。若い木の葉の色をさす色名。「若緑わかみどり」ともいう。
#b6d1a6 裏葉色うらはいろ。葉の裏の表に比べて白みによった色。クズの葉が典型。
江戸時代には「裏柳うらやなぎ」、「裏葉柳うらはやなぎ」などの色名も派生。
#9fd2ac 浅緑あさみどり。染色の色の濃い薄いは、深と浅で表し、「こき」、「うすき」と読むのが通常。緑だけは表記のまま「あさ」、「ふか」と読む。糸にかかる枕詞。「浅緑いとよりかけて 白露の珠にもぬける春の柳か」古今和歌集
#9fbf7f 柳色やなぎいろ。ヤナギの葉の色からつけられた色名。黄緑色。
古くから歌にも詠まれ、万葉集には四十首近く柳の歌がある。
「うちきに、やなぎのおり物の薄きおりもの重ねてきて」宇津保物語
#9fbd90 若苗色わかなえいろ。稲の苗のような緑を「苗色なえいろ」といい、植えたばかりの苗の色、やや黄みがかった薄い緑を表す色名。
「濃いうちぎに、撫とおぼしき細長、わかなへ色のこうちぎきたり」源氏物語
#64bf9c 若竹色わかたけいろ。若い竹の色を表し、くすんだ青みの緑を「青竹色あおだけいろ」という。より若く、緑が濃い色を表す色名が「若竹色」。年老いた竹の色、よりくすみ黄みがかかった緑を表す色名に「老竹色おいたけいろ」がある。
#b9cb22 鶸色ひわいろ。マヒワスズメ目アトリ科の羽の色からつけられた色名。明るい黄緑色。緑みが強い「鶸萌木ひわもえぎ」、茶みが加わると「鶸茶ひわちゃ」。
「それはひわいろのやはらかな山のこっちがはだ」宮沢賢治/春と修羅
#6fb637 萌黄色もえぎいろ。春の萌え出る木の葉のような色を表す、黄緑の代表的な色名。「萌木色」とも書く。「萌葱色」と書く場合はネギをさし、江戸時代には濃い緑色を表したという説もある。
「柳の織物の細長、萌黄にやあらむ、小袿着て、羅うすものの裳のはかなげなる引きかけて、ことさら卑下したれど」源氏物語
#8e9551 青丹あおに。青土岩緑青の古名が青丹。その色から名付けられた色名。
「奈良」かかる枕詞。
「あをによし奈良の都は咲く花のにほふがごとく今さかりなり」万葉集 巻3
#637148 青白橡あおしろつるばみ。橡ドングリの古名とは無関係。
黄色の染料、刈安96斤に紫染めの紫草6斤の割合で染色した時の色。
補色の混色だが、黄の割合が多いのでくすんだ黄緑色となる。
#677850 麹塵きくじん。コウジカビの色に由来する色名。
天皇が着用する平常の袍に使われた色。灰みの緑。青白橡も同じ。
「麹塵の胴丸に大口のそば高くとり」太平記
#538148 草色くさいろ。春に芽吹いた黄みの強い緑の若い草ではなく、夏の緑が深まった草の色をさす。濃い黄みの緑色。緑色を表す最も一般的な色名。
#56754d 松葉色まつばいろ。マツの葉のくすんだ緑色。「松の葉色」ともいう。
常緑樹である松は長寿と不変の象徴とされた。
「小塩山をしほやま神のしるしを松の葉に 契りし色はかへるものかは」新古今集
#40865f 木賊色とくさいろ。トクサトクサ科トクサ属から名付けられた色名。にぶい青みの緑。古生代に栄えた植物で、現在ではトクサ属一種のみ。茎が堅くケイ酸塩を含むため、木材の研磨に使用された。「砥草」とも書く。「木賊の狩衣に、襖あお袴着たるが、いとことうるはしく、さやさやとなりて」宇治拾遺物語
#12876f 青竹色あおたけいろ。若い竹の色を表し、くすんだ青みの緑を「青竹色」という。より若く、緑が濃い色を表す色名が「若竹色わかたけいろ」。年老いた竹の色、よりくすみ黄みがかかった緑を表す色名に「老竹色おいたけいろ」がある。
#65865c 老竹色おいたけいろ。若い竹の色を表し、くすんだ青みの緑を「青竹色あおだけいろ」という。より若く、緑が濃い色を表す色名が「若竹色わかたけいろ」。年老いた竹の色、よりくすみ黄みがかかった緑を表す色名に「老竹色」がある。
#595b3f 海松色みるいろ。ミルは食用にも虫下しの薬にもされた海藻。
オリーブ系、黄みによった灰みの緑。江戸時代には渋めの色として流行し、「海松茶みるちゃ」、「藍海松茶あいみるちゃ」などの色名も派生。
「細烏帽子に袖単白して、海松色の水干着たる調度懸六人」太平記
#4b500b 鶯色うぐいすいろ。「春告げ鳥」ともよばれるウグイスの羽からつけられた色名。くすんだ黄緑。色名となったのは江戸時代からで、茶みの「鶯茶うぐいすちゃ」などが流行。海松と並んでオリーブ系の代表的な色名。
「春知り顔に、七つ屋の蔵の戸出づる鶯茶の、布子の袖を摺れ縺れ」近松門左衛門/山崎与次兵衛寿の門松
#5f6745 根岸色ねぎしいろ。東京都台東区の上野公園北東部の地域が根岸。
砂質の上等な壁土が算出することで知られていた。根岸の宇津で上塗りした砂壁の色からついた色名。「鼠根岸ねずみねぎし」ともいう。
#004425 深緑ふかみどり。常緑樹の緑のような濃い緑色をさし、「常磐緑ときわみどり」、「千歳緑ちとせみどり」ともいう。
「深緑あらそひかねていかならむ 間なくしぐれのふる神の杉」新古今和歌集
リンク⇒ 桃色系 赤系 柑子系 茶系 黄系 緑系 青系 紫系 白・灰・黒系
青系 赤、緑とともに色覚における基本色感覚の一つです。
 藍染めの青は最古の植物染料の色として、多くの民族で最も馴染みの色となっています。寒色、鎮静色です。
#b9dfe0 瓶覗かめのぞき。藍染めは、「白藍しらあい」、「薄藍うすあい」、「中藍なかのあい」、「濃藍こきあい」など、微妙に違う色毎に色名がある。藍瓶に浸す回数の少ない、ごく薄い藍いろを表す色名。ほんの少し瓶を覗いただけという意味から。「白殺し」ともいう。江戸時代につけられた色名。
#9accd9 水浅葱みずあさぎ。藍染めは浅く染めると緑みによる。
明るい青緑系の色である浅葱色を薄くした色。「水」は水の色ではなく、「水で薄めた」といった色の薄さを表す修飾語。
#a2d5e5 水色みずいろ。水の色を表す平安時代からの色名。「水縹みずはなだ」も同じ色を表す。「こくうすく水色なるを下にかさねて」夜の寝覚
#89bbaf 千草色ちぐさいろ。江戸時代につけられた色名。
丁稚のお仕着せに用いられた染色の名前。着古した浅葱色の着物をさらに浅葱色で染め直したもの。「千種色」とも書く。
#0085a0 浅葱色あさぎいろ。藍染めは浅く染めると緑みに、濃く染めると紫みによる。
明るい青緑系の色を表す色名。「浅黄」とも書くが、薄い黄色の染色名と混同を避けるため、青を表す「葱」が一般的に。
江戸時代、江戸勤番の田舎侍が着物の裏に浅葱木綿を用いたことから、「浅葱裏」は野暮な田舎者の代名詞となった。「浅葱にて殿上にかへり給ふを、大宮は飽かずあさましき事とおぼし」源氏物語
#70b0cf 白群びゃくぐん。群青を白っぽくした色。岩絵の具は粒子の大きさによって色が変化し、細かくなるほど色実が少なくなる白っぽくなる
「白群青しろぐんじょう」ともいう。
#237abf 露草色つゆくさいろ。花や草の汁をそのまま布に摺りつける摺り染めに最も古くから使われた花の一つがツユクサ。「青花」、「着草」、「月草」、「うつしばな」などの異名がある。ツユクサで染めた明るい青をさす色名。
「花染はなぞめ」、「うつし色」ともいう。ツユクサで染めた青は消えやすいため、染めの下絵を描くのに使われる。
「つきくさ」は「うつる」、「きえる」にかかる枕詞。
「つき草に衣はすらむ朝露に ぬれてむ後はうつろひぬとも」万葉集 巻7
#275591 縹色はなだいろ。アイだけで染めた純粋なアイの色。藍色は江戸時代からの色名で、縹色は奈良時代からの古い色名。「花田色」、「花色」ともいう。
衣服令では「深縹ふかはなだ」、「中縹なかはなだ」、「次縹つぎのはなだ」、「浅縹あさはなだ」の四段階に分類。「浅縹の海賦の織物、織りざまなまめきたれど、にほひやかならぬに、いと濃き掻練具して、夏の御方に」源氏物語
#334597 瑠璃色るりいろ。アフガニスタンなどの限られた地域でしか産出しないラピスラズリは古くから珍重された鉱物。強い紫みの青。
ウルトラマリンともよばれる。日本では瑠璃とよばれ、仏教七宝の一つ。
「瑠璃の経巻は霊鷲山りゃうじゅせんの暁の空よりも緑なり」栄華物語
#00526c 納戸色なんどいろ。江戸時代から使われた色名。納戸部屋のうす暗い色、出入りする役人の服の色、納戸にひかれた幕の色など由来には諸説ある。
暗い灰みの青をさす代表的な色名。「藤納戸ふじなんど」、「鉄納戸てつなんど」、「納戸鼠なんどねず」などの色名が派生。
#1e5365 錆納戸さびなんど。「錆色」は鉄などが錆びた色を表すが、「侘び、寂び」の「さび」に通じ、暗くくすんだ色を表す形容。
#2e162d 茄子紺なすこん。ナスの実の色のような暗い紫みの紺。濃い紫みの青が紺色。
さらに紫みが強くなると「紫紺しこん」。それがさらに暗くなった色をさす。
ナスの実の色はさまざまな言語でも色名となっている。
#11212d 鉄紺てつこん。「鉄色」は暗く緑みをおびた青をさす。
鉄で染色するのではなく、藍染めの一種。藍は濃く染めるほどやや紫みをおびるが、それが緑みをおびた紺を表す色名。
#183159 藍色あいいろ。アイはアカネとともに最古の染料の一つ。日本の藍色はタデアイで染めた青。藍瓶に糸や布を浸し、それを空気に当てて酸化させる事を繰り返して染める。濃く鮮やかな青。「青は藍より出て藍より青し」荀子
#241c49 紺色こんいろ。藍染めのもっとも濃い色で、わずかに紫みによる。
「紺青こんじょう」、「紺藍こんあい」などの色名も派生。江戸時代には染め屋が紺屋とよばれるほど広く普及紺屋の白袴
「年四十ばかりなる男の鬚黒きが・・・・紺の水旱を着て」今昔物語集
#1c1639 濃紺のうこん。紺をさらに濃く染めた暗い紺色を表す色名。「褐色かちいろ」、「搗色かちいろ」ともいう。藍を浸透させるために臼で搗くつくことから由来。
「勝つ」に通じ「勝色」とも書く。さらに濃く染めると、これ以上濃くならないという意味の「留紺とまりこん」。
「我恋は逢初めてこそ増りけれ しかまのかちの色ならぬ共」詞花集
リンク⇒ 桃色系 赤系 柑子系 茶系 黄系 緑系 青系 紫系 白・灰・黒系
紫系 可視スペクトルの中には、紫に感じられる波長の光は存在しません。長波長の赤と短波長の青の光が混在した時に感じられる色が紫です。骨貝の一種から染められる貝紫と紫草の根による紫根染は古くから知られていた染色ですが、濃く染める事が困難だったため、高貴な身分の衣装にしか用いられませんでした。それゆえ特権的な色として広く認識されるようになった色です。
#a99cc7 藤色ふじいろ。フジの名は花が風に散る姿の「風散ふぢ」に由来。
その花色から名付けられた古い色名。浅い青紫の代表色。
「藤のこきうすき御衣、青朽葉の御小袒を着給たる」夜の寝覚
#9681ab 竜胆色りんどういろ。リンドウの花の色からつけられた色名。明るい青紫。
根を乾燥させた健胃剤がとても苦いことから「竜の胆」となった。
#ab87b8 若紫わかむらさき。言葉としては古くから存在するが、色名としては江戸時代から。若向きの明るい紫色を表す色名。
#a482b1 藤紫ふじむらさき。藤色のやや青みの少ない明るい紫色を表す色名。
化学染料によりより鮮やかな染色が可能になった明治以降に流行。
「大正藤」という色名は大正時代に流行った藤紫をさす。
#9f80a5 半色はしたいろ。紫の「濃色」、「薄色」のどちらでもない中間の色を表す伝統色名。「端色」とも書く。
#988191 薄色うすいろ。一般的には薄い色全般を指すが、伝統色名としては紫の薄い色を表す。「冠位十二階推古11年/603年」の制色で紫は最高位の色とされた。
また美の象徴ともされ、「むらさきの」は「匂う美しく輝く」にかかる枕詞、「紫のゆかり」は「ある関係から情愛が及ぶこと」を意味し、「ゆかりの色」ともよばれた。「白き袷、薄色のなよよかなるを重ねて」源氏物語
#6c4090 紫苑色しおんいろ。シオンキク科の多年草の花の明るい青紫からとられた色名。
「しおに」ともいう。「童の、濃きあこめ、紫苑の織物かさねて、赤朽葉の羅うすもののかざみ」源氏物語
#663f90 桔梗色ききょういろ。日本各地に自生するキキョウは秋の七草のひとつで「あさがお」とも言われる。その花の色から名付けられた色名。
鮮やかな青みの紫をさす。「桔梗花色」、「桔梗納戸」のように紫みのある青の染色の装飾語に使われるほど代表的な色名。
#6c368b 菖蒲色しょうぶいろ。「あやめいろ」ともいう。ショウブはサトイモ科で黄色い花穂をつける。紫の花をつけるのはアヤメ科のアヤメやノハナショウブ。
古くから混同されていたため、全て紫を表す色名となった。
「みすのうちこぼれいでたる袖ぐちども、をりにあいたるなでしこのはな、たちばな、しゃうぶ、つつじ、かきつばたなどようのいろを」有明の別
#703c8e 杜若色かきつばたいろ。カキツバタアヤメ科の多年草の花の色からとられた色名。
花を布に摺りつけて染める「書き付け花」に由来。菖蒲色より赤みの強い紫をさす。「かきつはた」は美人の形容に用いられ、「丹つらふ赤みのある美しい色」にかかる枕詞。
「我のみやかく恋すらむ杜若 にづらふ妹はいかがあるらむ」万葉集 巻10
#7d579d 楝色おうちいろ。楝はセンダンの古名。「樗」とも書く。
その花の色からつけられた色名で、明るい青みの紫をさす。
#6e2f6d 江戸紫えどむらさき。紫草は武蔵野の草とされ、江戸時代に江戸特有の紫染ができた。「古代紫」に対する意味で「今紫いまむらさき」ともいう。青みによった紫。「紫のひともとゆゑに武蔵野の 草はみながらあはれとぞ見る」古今和歌集
#73346c 古代紫こだいむらさき。紫草の根だけで染めた「本紫ほんむらさき」に対し、高価な紫根の代わりにアイで下染めした上にスオウなどで染めたものが「似紫にせむらさき」。やや赤みによった紫を「本紫」を思わせる色として江戸時代に名付けられた色名。
#723866 京紫きょうむらさき。「本紫」に近い赤みによった紫。
「江戸紫」に対して名付けられた色名。
京都の古来の紫染を行った紫師が染めた色。「古代紫」ともいう説がある。
#4d3c53 二藍ふたあい。「紅」は古くは「呉藍くれのあい」と書かれた。ベニバナの「紅=呉藍」とアイの「藍」の二つの「藍」で染めた色をさす色名。くすんだ青紫色。「二藍の直衣、指貫に、紅の打ちたる、白きひとへをぞ着たる」栄華物語
#513f59 鳩羽鼠はとばねず。キジバトの背羽のような紫みの鼠色をさす色名。灰みの少ない色は「鳩羽色」という。江戸期の百鼠のうちの一つ。紫みの鼠はほかに、「葡萄鼠ぶどうねず」、「紫鼠むらさきねず」、「桔梗鼠ききょうねず」などがある。
#4c3037 濃色こきいろ。一般的には濃い色全般を指すが、伝統色名としては紫の濃い色を表す。「冠位十二階推古11年/603年」の制色で紫は最高位の色とされた。
また美の象徴ともされ、「むらさきの」は「匂う美しく輝く」にかかる枕詞、「紫のゆかり」は「ある関係から情愛が及ぶこと」を意味し、「ゆかりの色」ともよばれた。「花も糸も紙もすべて、なにもなにも、むらさきなるものはむでたくこそあれ」枕草子
#5a1e56 似紫にせむらさき。紫草の根だけで染めた「本紫ほんむらさき」に対し、高価な紫根の代わりにアイで下染めした上にスオウなどで染めたものが「似紫にせむらさき」。やや赤みによったくすんだ紫。
リンク⇒ 桃色系 赤系 柑子系 茶系 黄系 緑系 青系 紫系 白・灰・黒系
白・灰・黒系 伝統色の白、灰、黒色サンプルです。これらの色は色相の特徴を持たない無彩色と言われています。
 明暗の両極端の白と黒。その中間にある灰色。あらゆる色の刺激を中和し、調和させるのに役立つ色といえます。
#f8e9d8 生成り色きなりいろ。自然のままの繊維の色をさす色名。黄みがかかった白。
言葉自体は江戸時代からあるが、色名としては現代。
自然回帰の風潮からうまれた。
#f5f8eb 卯花色うのはないろ。卯の花ユキノシタ科ウツギの別名の花の白をさす色名。
陰暦四月頃に咲くことから、四月を「卯の花の咲く月」、すなわち「卯月」としたという説もある。
#ab9880 柴色ふしいろ。「柴ふし」は雑木のこと。クリ、クヌギなどの雑木で染めた色とも、クスノキ科のクロモジで染めた色とも言われる。
「柴染ふしぞめ」ともいう。くすんだ黄褐色。
#665746 空五倍子色うつぶしいろ。ウルシ科ウルシ属のヌルデの枝に、アブラムシ科の昆虫ヌルデノミミフシアブラムシの幼虫が寄生すると、木の中のタンニンが集まり五倍子ふしとよばれる虫こぶができる。お歯黒にも利用された五倍子で染めた色をさす色名。暗くにごった茶みをおびた色。喪服に用いられた。「世をいとひこのもとごとにたちよりて うつぶしぞめの麻のきぬなり」古今和歌集
#829485 深川鼠ふかかがわねず。江戸時代に流行した百鼠の一つ。
青みの鼠を表す色名。青みの鼠は他に、「藍鼠」、「湊鼠」、「淀鼠」、「鴨川鼠」、「水色鼠」、「波鼠」など。
#959595 銀鼠ぎんねず。江戸時代に流行した百鼠の一つ。
明るい銀のような鼠を表す色名。さらに明るい「白鼠」などがある。
#8b8b89 薄墨色うすずみいろ。墨のような灰みの黒を「墨色すみいろ」といい、墨を薄めたような色をさす色名。凶色とされている。
#4c4c4c 鼠色ねずみいろ。ネズミに因んだ灰色をさす色名。火災の多かった江戸時代に「灰」の文字をさけ、「鼠」が用いられた。「素鼠すねず」ともいう。
#3b302d 憲房色けんぽういろ。室町時代、足利将軍の剣術師範であった京流吉岡憲房が始めた染色の暗褐色をさす色名。さらに濃い色を「憲房黒茶」という。
この色で小紋の模様染めをしたのが吉岡染。
#66756b 利休鼠りきゅうねずみ。江戸時代に流行した百鼠の一つ。緑みの鼠を表す色名。「利休」の茶のイメージから緑みを表す形容。他に緑みの鼠は、「呉竹鼠」、「浮草鼠」、「青柳鼠」、「島松鼠」、「松葉鼠」、「柳鼠」など。
#676967 鈍色にびいろ。カシワやクヌギなどの樹皮による染色で、鈍い色一般を表す平安時代からの色名。青みの灰色をさす。平安時代は喪服に用いられ、凶色。
青みが強くなったものを「青鈍色あおにびいろ」という。
「夕暮の雲のけしき、鈍色に霞て」源氏物語
#2b2c2e 黒橡くろつるばみ。「橡」はブナ科コナラ属クヌギの古名。その実であるドングリや樹皮で染めた色が「橡色」。素染では亜麻色に近い色だが、鉄触媒で染めたときの黒っぽい色をさす色名。平安時代以降は貴人の喪服の色。
リンク⇒ 桃色系 赤系 柑子系 茶系 黄系 緑系 青系 紫系 白・灰・黒系