将進酒 李 賀
瑠璃鍾 琥珀濃 瑠璃の
小槽酒滴真珠紅 小槽 酒滴って 真珠 紅なり
烹龍炮鳳玉脂泣 龍を烹 鳳を
羅屏繍幕囲香風 羅屏らい 繍幕しゅうばく 香風を囲む
吹龍笛 撃鼓 龍笛を吹き 鼓だこを撃つ
皓歯歌 細腰舞 皓歯 歌い 細腰 舞う
況是青春日将暮 況んや是青春日将に暮れんとして
桃花乱落如紅雨 桃花乱れ落ちて 紅の雨の如し
勧君終日酩酊酔 君に勧む 終日 酩酊して酔え
酒不到劉伶墳上土 酒は到らず 劉伶りゅうれい墳上の土
蜀 相 杜 甫
丞相祠堂何処尋 丞相の祠堂 何れの所にか尋ねん
錦官城外柏森森 錦官城外 柏森森
映階碧草自春色 階に映ずる碧草 自ずから春色
隔葉黄麗空好音 葉を隔つる黄麗こうり 空しく好音
三顧頻繁天下計 三顧頻繁なり 天下の計
両朝開済老臣心 両朝開済す 老臣の心
出師未捷身先死 出師 未だ
長使英雄涙満襟
下終南山 過斛斯山人 宿置酒
終南山を下り
暮從碧山下 暮に碧山より下る
山月隨人歸 山月 人に隨って歸る
却顧所來徑 來たる所の徑みちを却顧きゃくこすれば
蒼蒼横翠微 蒼蒼として翠微に横たう
相攜及田家 相攜たずさえて田家に及べば
童稚開荊扉 童稚 荊扉けいひを開く
緑竹入幽援 緑竹 幽援ゆうえんに入り
青蘿拂行衣 青蘿せいら 行衣を拂う
歡言得所憩 歡言 憩う所を得て
美酒聊共揮 美酒 聊いささか共に揮ふるう
長歌吟松風 長歌 松風に吟じ
曲盡河星稀 曲盡きて河星稀なり
我醉君復樂 我醉えり 君復た樂しむ
陶然共忘機 陶然として共に機を忘る