帰園田居 陶 潜
少無適俗韻 少わかきより俗に適する韻無く
性本愛丘山 性本と丘山を愛す
誤落塵網中 誤つて塵網の中に落ち
一去十三年 一去十三年
羈鳥恋旧林 羈鳥旧林を恋い
池鯉思故淵 池魚故淵を思う
開荒南野際 荒を南野の際に開かんと
守拙帰園田 拙を守って園田に帰る
方宅十余畝 方宅 十余畝
草屋八九間 草屋 八九間
楡柳蔭後簷 楡柳ゆりゅう後簷こうえんを蔭おおい
桃李羅堂前 桃李 堂前に羅つらなる
曖曖遠人村 曖曖たり 遠人の村
依依墟里煙 依依たり 墟里きょりの煙
狗吠深巷中 狗は吠ゆ 深巷の中
鶏鳴桑樹巓 鶏は鳴く 双樹の巓いただき
戸庭無塵雑 戸庭塵雑無く
虚室有余間 虚室余間あり
久在樊籠裏 久しく樊籠はんろうの裏うちに在りしも
復得返自然 復た自然に返るを得たり
己亥歳 曹松(晩唐)
沢国江山入戦図 沢国の江山 戦図に入る
生民何計楽樵蘇 生民何の計あって
憑君莫話封侯事 君によって話すなかれ 封侯の事
一将功成万骨枯 一将功成って 万骨枯る