江 雪 柳宗元
千山鳥飛絶 千山 鳥 飛ぶこと絶え
万径人蹤滅 万径 人蹤滅す
孤舟蓑笠翁 孤舟 蓑笠の翁
独釣寒江雪 独り釣る 寒江の雪
千里鶯啼緑映紅 千里鶯啼いて 緑紅に映ず
水村山郭酒旗風 水村山郭 酒旗の風
南朝四百八十寺 南朝四百八十寺
多少樓臺烟雨中 多少の楼台 烟雨の中
古歌 漢・無名氏
秋風蕭蕭愁殺人 秋風 蕭蕭として 人を愁殺し
出亦愁入亦愁 出づるも亦た愁へ 入るも亦た愁ふ
座中何人 座中 何人なんぴとか
誰不懷憂 誰たれか 憂ひを 懷いだかざる
令我白頭 我をして 白頭ならしむ
胡地多飆風 胡地に 飆風へうふう 多し
樹木何修修 樹木 何ぞ 修修たる
離家日趨遠 家を離れ 日びに 遠きに 趨おもむき
衣帶日趨緩 衣帶 日びに 緩ゆるきに 趨く
心思不能言 心思 言ふ 能あたはず
腸中車輪轉 腸中 車輪 轉ず
胡笳歌 胡笳の歌 岑参
送顏真卿使赴河隴 顏真卿の使ひして河隴に赴くを送る
君不聞胡笳聲最悲 君聞かずや
紫髯濠瘡モ人吹 紫髯濠しぜんりょくがん 胡人こじん 吹く
吹之一曲猶未了
愁殺樓蘭征戍兒 愁殺す 樓蘭ろうらん 征戍せいじゅの兒じ
涼秋八月蕭關道 涼秋 八月 蕭關せうくゎんの道
北風吹斷天山艸 北風 吹斷す 天山の艸くさ
崑崙山南月欲斜 崑崙山南 月 斜めならんと 欲ほっす
胡人向月吹胡笳 胡人 月に向ひて 胡笳を 吹く
胡笳怨兮將送君 胡笳の怨 將まさに 君を 送らんとす
秦山遙望隴山雲 秦山しんざん 遙かに望む 隴山ろうざんの雲
邊城夜夜多愁夢 邊城 夜夜やや 愁夢 多く
向月胡笳誰喜聞 月に向かひて胡笳