玉臺新詠 [索引] [書架]

 遊女曲
梁・武帝[蕭衍]
氛氳蘭麝體芳滑、
容色玉耀眉如月、
珠佩婐㛂戲金闕。
戲金闕、遊紫庭、
舞飛閣、歌長生。



氛氳たる蘭麝體は芳滑、
容色玉耀きて眉は月の如し、
珠佩びたる婐㛂金闕に戲たはむる。
金闕に戲れ、紫庭に遊び、
飛閣に舞ひ、長生を歌ふ。

歌一首 蘇小小歌 西陵歌
錢唐 蘇小
妾乘油壁車、
郞乘靑驄馬。
何處結同心?
西陵松柏下。
わらはは油壁の車に乘り、
きみは靑驄の馬に乘る。
何處いづこにか同心を結ばん?
西陵の松柏の下もと

 王孫遊
南齊・謝朓
綠草蔓如絲、
雜樹紅英發。
無論君不歸、
君歸芳已歇。



綠草蔓つる絲の如く、
雜樹紅英發く。
無論君歸らずとも、
君歸るとも芳かをり已すでに歇む。

 古絶句

南山一桂樹、
上有雙鴛鴦。
千年長交頸、
歡愛不相忘。



南山の一桂樹、
上に雙の鴛鴦有り。
千年長とこしなへに頸を交らし、
歡愛相ひ忘れず。

留別妻一首
蘇武
結髮爲夫婦、
恩愛兩不疑。
歡娯在今夕、
燕婉及良時。
征夫懷往路、
起視夜何其。
參辰皆已沒、
去去從此辭。
行役在戰場、
相見未有期。
握手一長歎、
涙爲生別滋。
努力愛春華、
莫忘歡樂時。
生當復來歸、
死當長相思。



結髮夫婦と爲り、
恩愛兩ふたつながら疑はず。
歡娯今夕に在り、
燕婉えんゑん良時に及ぶ。
征夫往路を懷おもひ、
起ちて夜の何其いかんを視る。
參辰皆な已すでに沒す、
去り去りて此れ從り辭せん。
行役して戰場に在らば、
相ひ見ること未だ期有らず。
手を握り一たび長歎すれば、
涙は生別の爲に滋しげし。
努力して春華を愛し、
歡樂の時を忘るる莫なかれ。
生きては當まさに復た來きたり歸るべく、
死しては當まさに長とこしへに相ひ思ふべし。

 別詩
元帝
別罷花枝不共攀、
別後書信不相關。
欲覓行人寄消息、
衣帶潮水暝應還。



別れ罷みて花枝共には攀のぼらず、
別れの後書信相ひ關かかはらず。
行きし人を覓もとめんと欲して消息を寄いだせば、
衣帶の潮水暝よるに應まさに還るべし。

 子夜歌
梁武帝
朝日照綺錢、
光風動紈羅。
巧笑蒨兩犀、
美目揚雙蛾。



朝日綺錢を照らし、
光風紈羅を動かす。
巧笑蒨たる兩犀、
美目雙蛾揚る。

 靑陽歌曲
近代雜歌
靑荷蓋綠水、
芙蓉發紅鮮。
下有并根藕、
上生同心蓮。



靑き荷はすは綠水を蓋おほひ、
芙蓉は紅鮮かに發ひらく。
下に根を并せたる藕れんこん有りて、
上に心を同じうせる蓮はちす生ず。

 思公子
邢劭
綺羅日減帶、
桃李無顏色。
思君君未歸、
君來豈相識。



綺羅日々に帶を減じ、
桃李顏色無し。
君を思へど君未だ歸らず、
君來れども豈いづくんぞ相ひ識らんや。

東陽谿中 贈答
謝靈運
可憐誰家婦、
縁流洗素足。
明月在雲間、
迢迢不可得。



憐む可し誰が家の婦をんなぞ、
流れに縁ひて素しろき足を洗ふ。
明月雲間に在り、
迢迢てうてうとして得可からず。

 玉階怨
謝朓
夕殿下珠簾、
流螢飛復息。
長夜縫羅衣、
思君此何極。



夕殿珠簾を下し、
流螢飛びて復た息いこふ。
長夜羅衣を縫ひ、
君を思ふこと此こに何ぞ極きはまらん。

 金谷聚
謝朓
渠碗送佳人、
玉杯邀上客。
車馬一東西、
別後思今夕。



渠碗きょわん佳人を送り、
玉杯上客を邀むかふ。
車馬一たび東西せば、
別後今夕を思はん。

同王主薄有所思 謝朓
 王主薄の思ふ所有りに同す
佳期期未歸、
望望下鳴機。
徘徊東陌上、
月出行人稀。
佳期期すれども未だ歸らず、
望望として鳴機を下くだる。
徘徊す東陌の上、
月出でて行人稀まれなり。

 怨詩
班婕妤
新裂齊紈素、
皎潔如霜雪。
裁爲合歡扇、
團團似明月。
出入君懷袖、
動搖微風發。
常恐秋節至、
涼風奪炎熱。
棄捐篋笥中、
恩情中道絶。



新たに齊の紈素を裂けば、
皎潔にして霜雪の如し。
裁ちて合歡の扇と爲せば、
團團として明月に似たり。
君が懷袖に出入し、
動搖すれば微風發す。
常に恐らくは秋節の至りて、
涼風炎熱を奪ひ。
篋笥の中に棄捐せられ、
恩情中道に絶えんことを。

 古絶句

藁砧今何在、
山上復有山。
何當大刀頭、
破鏡飛上天。



藁砧今何いづくにか在る、
山上復た山有り。
何ぞ當まさに大刀の頭かしらなるべき、
破鏡天に飛び上らん。

 白頭吟
漢・卓文君
皚如山上雪、
皎若雲間月。
聞君有兩意、
故來相決絶。
今日斗酒會、
明旦溝水頭。
躞蹀御溝上、
溝水東西流。
淒淒復淒淒、
嫁娶不須啼。
願得一心人、
白頭不相離。
竹竿何嫋嫋、
魚尾何簁簁。
男兒重意氣、
何用錢刀爲。



がいたること山上の雪の如く、
けうたること雲間の月の若ごとし。
聞く君兩意有りと、
ことさらに來たりて相ひ決絶す。
今日斗酒の會、
明旦溝水の頭ほとり
御溝の上に躞蹀せふてふすれば、
溝水は東西に流る。
淒淒せいせいとして復た淒淒たり、
嫁娶かしゅに啼くを須もちゐんや。
願はくば一心の人を得て、
白頭まで相ひ離れざらん。
竹竿何ぞ嫋嫋でうでうたる、
魚尾何ぞ簁簁ししたる。
男兒は意氣を重んず、
何ぞ錢刀を用ゐるを爲さんや。

 七哀詩
曹植
明月照高樓、
流光正徘徊。
上有愁思婦、
悲歎有餘哀。
借問歎者誰、
言是客子妻。
君行踰十年、
孤妾常獨棲。
君若淸路塵、
妾若濁水泥。
浮沈各異勢、
會合何時諧。
願爲西南風、
長逝入君懷。
君懷良不開、
賤妾當何依。



明月高樓を照らし、
流光正に徘徊す。
上に愁思の婦有り、
悲歎して餘哀有り。
借問す歎ずる者は誰ぞと、
言ふ是れ客子の妻と。
君行きて十年を踰え、
孤妾こせふ常に獨ひとり棲む。
君は淸路の塵の若ごとく、
妾は濁水の泥の若ごとし。
浮沈各ゝおのおの勢を異ことにし、
會合何いづれの時にか諧かなはん。
願はくば西南の風と爲り、
長逝して君が懷ふところに入らんことを。
君が懷ふところまことに開かずんば、
賤妾せんせふまさに何いづれにか依るべき。

碧玉破瓜時
東晋・孫綽
玉破瓜時、
相爲情顚倒。
感郞不羞難、
迴身就郞抱。

 碧玉破瓜の時

碧玉へきぎょく破瓜はくゎの時、
ひ爲ために情じゃう顛倒てんたうす。
郎に感じて羞難しうなんせず、
身を迴めぐらして郎に就きて抱いだかる。

[索引]
遊女曲歌一首王孫遊古絶句留別妻一首別詩
子夜歌靑陽歌曲思公子東陽谿中 贈答玉階怨金谷聚
同王主薄有所思怨詩白頭吟七哀詩碧玉破瓜時

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