川柳秘語とバレ句  2004/9/11 投稿者・aosagi123

己惚れをやめれば他に惚れ手なし

相惚れは額へ格子の跡がつき

車井戸あうん備わる下女が壺

洗濯と張り物あうんにらみ合い

背い伸びの開空割れが鯨尺

立膝のとき三角の口をあき

板ねぶとおぼしき人の青女房

青女房辺乃古の浮名立つるなり

赤貝が蜆をはさむ柘榴口

抱いた子をふたにして出る柘榴口

湯に入る子供故郷のふたにされ

赤団子だよに倅は泣き寝入り

あてこすられて倅は涙ぐみ

両頬の赤いは下女の匂う門

男には上がり下がりの難はなし

品定め上がり下がりの沙汰はなし

位の高下なに論ぜんや生は開

お妾は臍に近いで上とする

若後家はあがりものだと和尚云い

【相惚れ】情事語で互いに惚れ合っている仲。

【阿吽】阿はひらき、吽はとじる、
 発音の口の形から出たことば。
 開いた口と閉じた口の意味に用いる。

【青女房】普通には青侍の妻女の称。
 過房により黄色くむくんだ顔色の女の異名。
 又、技巧を知らぬシロウト女との意味にも使う。

【板ねぶ】→板ねぶり、板舐め。
 男陰の一称で、長根に云う俗語。
 湯屋の腰掛けに座してながし板をねぶるとの意。

【赤貝】女陰の異称。俗に蜆、蛤、赤貝、法螺貝など、
 年齢的段階を示すことがある。
 赤貝は年増、既婚女に用いられる。

【上がり】「あがりもの」は、寺では供物などに云う。
 俗語では、死んだものにも云う。商売商売で云い方が異なる。
 魚屋は「あがった」、鳥屋は「おちる」、車夫は「行き着いた」、
 材木屋は「おっぴょしょれた」、その他「ごねた」「延びた」
 「ねむる」「くたばる」など。秘語では女陰の一称。
 上がり下がりとて、その「上開」(妙陰)、「上付」「下付」
 「前付」は妙陰のことだ。

【柘榴口】江戸では文政五年まで在った湯屋の構造。
 流し場から浴槽へ入る境の鴨居が低く作られていて、
 よほどかがんで通らないと入れなかった。
 此は浴槽の湯を少なくして、その代わりに湯気が立ちこめて、
 それで蒸されるように考えられていた。この出入り口には、
 扉はないが、人々の上半身は鴨居に隠れて見えず、
 下半身だけが見えた。
2004/9/12
貸家あり後ろの家の前のとこ

留守だからしなとはひょんな寝言なり

ととさんは留守かかさまが来なさいと

後家船をかしたではたに波が立ち

三年は無駄穴にして縁を切り 縁切り寺

かけごのある客あげ底のままでさせ

けしからぬものへ傾城底を入れ

つめ紙をせぬが地者の馳走なり

よもお命はつづくまい顎で蠅

甚兵衛はふところ手にて蠅を追い

あごで追う蠅は六味へたかるなり

鑓先の功名今はふところ手

甚兵衛の女房とうとう泣き殺し

殿様を空堀にする美しさ

またうちでせにゃあすまぬと朝帰り

湯へ行けと女房無性にきたながり

朝帰り首尾のよいのも変なもの

朝帰り狐が落ちて馬がつき

浅草の名物観音海苔と紙

浅草を喰っているのは下女が馬

真似をして下女浅草を口でとり

鼻をかむ紙は上田か浅草か

足入れと名づけ手入れをさせに行き

ぐずろ兵衛足をからんで〆つける

仲足を女房がもむ旅戻り

人形は足の指まで曲げられず

瓜田よりこたつの足のうたがわし

してもらわずといいのさと女房すね

気ばかりさなどとご隠居酌をさし

長局足ずりをして泣いている

さあ筆が当たるとのの字やたら書き

湯上がりの味は古語にもほめてあり

味気ある世の中で後家面白し

さなきだに他の辺乃古の味知らず

大味は間口が広いなどと云い

据風呂を出てから何の日だと聞き

この貝を拾いに来たと床の痴話

【空き家】空き店の意味から主のない後家に対しての陰名俗称。「ねかし開」「貸し家」「貸家」「貸船」と用いることもある。

【あげ底】遊里語では「底根」ともいい、詰める紙の一法であり、
 昔、遊女が避妊のために行ったと云うが、
 実は自制法に用いたらしく、直截花心に触れて
 「とっぱずさない」用心だった思われる。
 好きな相手には此を取り除いて相対したとも云う。

【顎で蠅】過房のため精力消耗し、
 気力さえ衰えてハエを追う元気もなくなった様子を云うのだ。
 地黄丸は腎薬であり、六味地黄丸、八味地黄丸があった。

【朝帰り】朝帰りの男は、昨夜の楽しい思いでは在ろうが、
 その反面のうら寂しさ、景気よく出かけはしたが、
 翌朝の気抜け顔もあり、さらには、
 帰宅時女房への弁明の苦労もある。

【浅草紙】ネズミ色をした漉き返しの雑用紙。
 鼻紙や落とし紙に用いられた。
 初めは吉原遊郭から出る紙を原料にして、浅草門跡近くの
 農家が副業に漉き返し紙を作った物だと言われる。
 浅草紙をまた「悪る紙」「臭さ紙」とも云った。

【足】婚姻俗諺には「足入れ」「そっかけ(めかけ)」。
 情事語には「足を蠅(拒否)」「足を洗う」「足抜き」
 「悪足(ヒモ)」「足の指(よがり)」「足使い(踵掛け)」
 「足の合唱(よがり)」「中足」「前足」などの名がある。

【味】情事語では「味なこと」「味な夢」。
 秘語では大味。味を知るなど性感の意に用いられる。
2004/9/13
女房で味をおぼえる大たわけ

頭から呑もうと乳母追っかける

小娘を頭ばかりとくどくなり

いい機嫌辺乃古頭を上げかねる

けしからぬ悋気頭へ判を押し
 描く貞操帯。欧州でも中国でも男の浮気封じ。

化け物で度々乳母はりくつする

この鈴でお出来と乳母は引いて見せ

せつない口説きようおつつけるばかり

見たことがあるとは嫌な口説きよう

酒マラも程があるよと女房じれ

泣くことはないよと俄かに小豆飯

切り口の牛蒡和尚の吾妻型

涙ぐむ倅故郷思いだし

岡場所はあとのやくまでさせるとこ

おおびねのマラであらをつつきたがり

新造は干大根によりをかけ

気のきかぬ永い日だのと新所帯

姑が死んで夜な夜な嫁は泣き

あら世帯ぎちりぎちりと夜を更かし

あら世帯油のいらぬ夜なべなり

しん女房昼間居眠ってなぶられる

その当座昼も箪笥のかんが鳴り

あら世帯ひとの思ったほどはせず

茶ばかりだまっと寝ようとあら世帯

【頭】亀頭の俗称。女陰の額口と言うのと同様だ。
 「坊さん」頭とも言う。

【鈴】秘語の「すず」は、女の鰐口の対語。
 宮の鈴は、社の拝殿の前に吊され、
 太い布を縒り合わせた紐とか、紅白の布がたれていて、
 それを引き振ると鈴が鳴るのである。
 この鈴の大きな物を鈴口という。江戸城の表と奥の廊下にも
 「お鈴口」といって、扉の境があり、
 此より奥は男子禁制の掟だから、用事がある者は、
 ここの鈴を鳴らして奥女中を呼び、用事を伝えた。
 鈴は、民俗的にも男の表徴とされている。

@ この鈴でお出来と乳母は引いて見せ

A 若殿は神代からある鈴で出来

B ふんどしのはずれたような宮の鈴

C 内緒の用に鈴とは面白い

 さる料亭で間違って女用の便所に入って出てきたところを女中に見とがめられた大物が「こちらはご婦人用です」に。
 恐縮しながらも、「私のも、此はご婦人用なのだが」と言った。

【小豆飯】初潮の異名。「赤の飯」とも言う。

【吾妻形】男子独悦の秘具。「東形」とも。
 女陰に擬して作られ、売り物は漏斗状で、
 内面にビロードの布が張ってあったという。代用品は蒟蒻。

【あてこすり】遠回しに嫌味を言うこと。
 秘語では擦淫のこと。ペッティングを含む。
 「あてがき」は男が相手を空想して行う場合である。
 女には「あていれ」の秘語がある。

【後の厄】男の厄年は二五と四二歳。女の厄は一九と三三歳。
 後の方を後厄という。郭の女郎は二七歳で年明けだが、
 岡場所妓は一年ごとの契約ではあるが、
 勤めは後厄の三三歳まで続けられるのが常例となっていた。
 可哀想にね。現代なら「お馬」なしだと、
 第二の青春謳歌する輩もいるというのに。
2004/9/14
【下女】「おさん」(飯炊き)。「はした女」「下働き」のことだね。
「女中」とは、一般の女ども、お女中衆の意味であって、
 必ずしも「御末」の下女に限らない。

「下猫」は、下女兼帯のメカケのことだ。←下級なメカケ。
 江戸の川柳の世界では、「相模」が、
 代表的な下女の産地とされ、かつ「さがみ女」は多情者とし、
 町人商家の奉公人間における安直な情事対象になっている。

@ 浅草を喰っているのは下女が馬

A 真似をして女浅草を口で取り

B 心待ち下女ちり紙のちりをとり

C よしなよの上のよの字は下女置字

D 一番でいいかとさがみ跡ねだり

E いやな下女浅間額に作るなり

F 妾のはねだり下女のはゆすり也

G 女房の警動をくう下女が部屋

H かつがれた下女は明地で賤ヶ獄 7本槍

I 寝濃い下女車がかりを夢のよう

J 糠袋頬張って下女腰が抜け

K とんだ下女寝てする事を立ってする

L ういろうをつけてくんなと好きな下女

M 好きな下女所を聞けば小坪なり

N 好きな下女透頂香の近所なり

P 下女が宿かわらけ町で覚え

【乳母】「めのと」として「後家」と同様に経験者として扱われてい
 る。仕える娘の恋の相談相手になったり、幼児の場合は子供を
 騙して男と逢い引きする場面が出てくる。
 「一盗、二卑、三妾、四妻」

【間男】密か男(みそかお)」「隠し男」などがある。
 遊里語では「間夫」「真夫」「密夫」とも書き、「密夫」は豆男(まめおとこ)
 して、達者、まめやかもの、などの秘語もあるよ。

【妾】「目かけ」「手かけ」も同じ。「そっかけ」とも言う。
 日陰者、囲い者,内妾、外妾様々の種類と異称がある。
 寺では梵妻、大黒などとも呼ばれる。「御撫で」「おさすり」
 「炊きざわり」「下猫」もある。上方では「さきすり」、古語では
 「二仕(ふたせ)」と言った。妾悪行組で前出の「手水組」「おしし組み」な
 どの名もある。
 「出格子」「連子窓」は囲い者の妾宅から出た異称だよ。

@ ご隠居は妾のせきにはみ出され

A 立つ女横に寝るのがご奉公

B お妾はたった四五寸仕事なり

C めの字からへの字になると付け上がり
  お部屋様

D 変な寺女大黒生きた釜

E 小間物屋おめかと帳へ付けて置き
2004/9/15
売り物は草をむしって洗う鉢 摘み草

回し開つまみあらいをしてはさせ 下湯

芳町で牛蒡を洗う女客 年増後家

洗濯の向こうへ廻り拝むなり

吉原の土手通るほど草を抜き

芳町で年増の分は二タ役し 男客と女客に

芳町へ蛤が来て汐を吹き

変な寺 女大黒 生きた釜

生き針のききめは書かぬ十四経
 鍼灸術の書 生き針 ん?!太いかな?

生きものの出入りはさせぬ御殿門
 絵島生島

長局生ものまでも箱へ入れて行き
 新五郎芝居

只の饅頭でない故子が出来る
 紀文が贈った饅頭

大黒と呼ぶのは釈迦も知らぬ知恵

梵語で大黒 俗語では山の神

いくいくと云う時枕生き別れ

きやりが聞こえてお祭りを子に見られ

四つ目屋の近所幾代は面白い
 両国のいくよ餅

【洗う】東北の民俗には「足を洗う」という習俗があった。
 →農婦が夕方、野良から帰ると家に上がる前に納屋の隅など
 の足洗盥でした湯を使った。遊里語では「下湯」。
 避妊とか帯下(コシケ)もカキコした。大陰と小根などにも云っている。

【生きもの】「なまもの」「しょうの物」ともいう。
 張形を「等茎」「細工物」というのに対して男陰には「活物」
 「生きた御用の物」の称があった。

【行く】遂情の秘語。俗に気を遣るとも、気が行くとも云う。
 無我の境地に入る放念の心理の絶叫である。
 我が国の俗語では死ぬと同義語。
 この行き着くと言うのがあり、
 この折りの秘語にも又「死ぬ」という。
 快楽の極致は死をも連想する心理があると言われている。
 遊里語では「落ちる」「はずす」。遂情・喜悦の意味だ。
 俗語には「出る」も使われる。
2004/9/16
池の名にそむいて蓮の茶屋を借り 不忍池

池の端花咲く頃には草も生え 初花と春草

代参の不首尾は蓮の根を掘られ 女根を掘

月を見る頃には芒土手に生え

据え風呂の加減に指が二本濡れ
 据え膳にも味見

饅頭に小僧だまって指をさし

@ 喰い飽きた饅頭指で抉ってる

A 饅頭に楊枝が付いて喰わぬなり 用事

B 只の饅頭でないから子が出来る

C 肉饅頭を食ったが落ち度なり

下反りはいたしがたいと小間物屋

小桶からなめらの下がる板舐り

鍔かける筈で女房呼び戻し 長刀につば

天狗の辺乃古さぞ長からん 大鼻は大陰

長い辺乃古茶臼のときは弥次郎兵衛

一ノ谷扇のわれ目尻つつき

一ノ谷六の方から逆落とし 賽の一の裏は六

提灯で夜通し攻める一ノ谷

上を上をと官女泣く一ノ谷

落ちそうな腹はからめてから攻める 臨月

しりからはいやと持参を鼻にかけ

【池】「谷地」も同義語。秘語では「地頭春草」。不忍池畔で有名
 な出合い茶屋を「池の茶屋」「蓮茶屋」などと呼んでいた。

【医者親子】探春に言う秘語。薬指と親指と小指。
 「逆碁」←何でだろうね。碁石掴むのに、どの指使うかな。
 『東海道中膝栗毛』にも、せめて二本の指だけでも
 爪を取っておこうと言っている箇所がある。

【板舐め】男陰の一称。長根に言う俗言。「板舐り」とも。
 湯屋の腰掛けに座して流し板を舐るとの意味。

【一ノ谷】播磨の国須磨の峡谷の地名。源平の古戦場。
 熊谷直実が敦盛を討ち取った所として有名。
 秘語では「後ろ取り」の御法。
 「坂落とし」「隔山取宝」「けつもどき」などの異称がある。
2004/9/17
一番でいいかとさがみ跡ねだり

間のわるさ下女一番を二度にされ

さて次なる芸当は女房上へ

禅坊主羅刹してから無一物

無一物とは羅刹かと馬鹿な僧

羅刹してまた下になる長局
 互い形 上で男役、終わって羅刹(去勢)。
 今度は張り形使いの女役。

つかい果たして握ってる二分一本
 「二分一本」は銭のさし(銭の真ん中の穴に通す紐)に擬した玉茎の称である。事後の様子。

二分一本持参で入る裸婿

巾着に一本入れて口を〆

ろうそく屋一本書いて立てて置き
 看板 蝋燭屋は独楽の秘語だから、
 バレが良く効いている。

後家へ出す陰間は一本つかいなり

真ん中に一本生えた鬼もあり
 鬼は陰間の異称。

裸でと言えば娘はおかしがり

巾着は松皮菱に口を開け 紋どころ

一万石そっと包んだ緋縮緬
 一万石は女子陰阜の異称。

生き貝は一万石で一トちぢみ
 まずすくみ 陰阜を撫でたか触ったか?

居続けは翌朝鼻をつまませる
 居続け客は上客でない限り、妓楼の仲居などには手数が掛かって嫌がられるから、そのことを”鼻つまみ”在ることに掛けて、実は秘技の「鼻つまみ}を効かせた句である。

【一番】秘語。度数に言う語で「一丁」とも言う。「二つ玉」
 「むし返し」「二番」などの対語。

【一物】男陰の俗称異名。「得手物」「逸物えて」の類称。

【一本】男陰異称で、「二分一本」とも言う。銭の中の穴に通してばらけないようにする「さし」と言う紐を玉茎に擬している。
 「(もとどり)」の類語。

【一万石】女子陰阜の異称。

【居続け】遊里語。連日遊興のこと。
 翌朝になるとお直しとして、
 改めて昼遊びの料金が加算される。
 情に引かされての痴呆の結果だと見られる場合もある。
2004/9/18
@ 弁天をのけると跡は片輪なり

A 六本の棹でこぎ出す宝船 棹は男

B 六人でたった一つの豆を煎り

 大阪弁川柳もぎりを一つ
※たいがいに しなはれ弱い ますおさん

※よめはんが 承知しまへん あきまへん
2004/9/18
品のいい紙屑かごは犬張り子

犬張り子祭りの紙を喰いに来る

夜軍(よいくさ)の白い血を吸う犬張り子

いい施主がついて命を火葬にし

金になる細工命の彫物師

この腕の火葬で客をあつくさせ

太えあま腕に火葬が二つ三つ

傾城の腕に俗名きりつける

疣のある方が蛸だと女房云い

雁高はくわえて引くと思うなり
 抽送の途中で外れそうなときの感触

お妾はくわえて引くが隠し芸

生きた姉さんが今戸に並んでる
 今戸焼きは粗末な焼き物。江戸大火で仮説住宅が今戸につくられた。

生ものを忌む毒断ちで里へやり

芋の味などと吸い付く蛸の味
 @妻とか恋人
 A俗に「芋面」などというのは、あばたづらノコと。
 B「芋助」は、何にも知らぬ、わきまえぬ、
  との意味の擬人名。
 C「芋坊主」は、何の取り柄もない坊主のこと。
  または、生臭坊主のことだ。
 D秘語の「芋」はバナナと同様、男陰異称だ。
  ただし里芋、山芋だよ。

山の芋うなぎに化ける法事をし
 坊主客の色茶屋遊びだな。
 法事も「独鈷加持」と同様に営みを意味する。
 独鈷→男根

三千の剥身一本の串で刺し
 後宮三千妓 ハーレムだ。大奥だ。
 回教ではつらい物があるという、
 何せエコ贔屓はダメよと云うから。

芋畑親も子も取るふてい奴
 不貞と太い 親子丼とも云うね。

@ 田楽の串に辺乃古を使うなり

A 後の親をおやともせず芋田楽

B 御褒美の出ぬ孝行を亭主する

C けしからぬ事は養母が孫を産み

口惜しさに生きたいもりをほかしつけ
 口惜しい、なんでだ?生きたイモリ?男根か

黒焼きにせずと小判は惚れる也

惚れ薬佐渡からでるがいっちきき

【鯔の臍】秘語では俗に言う「花心」。
 魚のイナは俗に出世魚と呼ばれて名前が変わる。
 すばしりは窄尻、おぼこは未通女の称となる。

【犬張り子】昔、犬張り子は嫁入り道具の一つとして初めから
 持参させた。その形はあたかも猫が香箱を作って座したような
 足の付いていない物で、左右向き合った二個一対であった。
 中程から上下に開き、内部は空洞になっている箱だ。
 閨房に置くくず紙入れだった。

【いのち】遊里語。女郎の起請方法の一つで「入れ墨」の異称。
 「起請彫り」といって遊女と遊客との間に行われる互いの心情の
 誓約なのである。この風習は中国に於ける「いもりのしるし」
 から転化したともいわれている。女郎の命の入れ墨には”
 たとえ身は売っても操は金では売らない”との意味があった。
 遊客の心を引きつける女郎の手管とされるようになり、順次、
 他の客をも騙す手段に使われたとき、以前の入れ墨が邪魔に
 なりだしたから、此を消すために、入れ墨の上に灸をすえて
 焼き消す事が考え出された。
 「腕の灸」「火葬」などの擬称が起こった

【疣つき】張形の一種。近代の変形サックと同様の考案のもの。
 亀頭頸冠部の隆起とも、茎部の節くれ立った状態に云うのだと
 も称されている。

【忌み時】秘語では交合禁忌にいう語。

【今戸焼】現代の台東区今戸の地。
 瓦や土器などの粗末な焼き物を今戸焼きと言っていた。
 江戸の大火で吉原が焼失したとき、新吉原に郭が再建される
 まで一時ここに「仮宅」が認められ大いに繁盛した。そのときか
 ら遊女姿の土人形を作って「姉様人形」と称して売り出した。

【芋刺し】秘語では「芋田楽」と同じ。

【芋田楽】里芋、蒟蒻、豆腐などを串に刺して、
 味噌を付けて食べる物。「芋でん」「いも汁」「親子丼」親芋と子芋とを一本の串で刺し通すとの意から親子相姦の義としている。

【いもりの黒焼き】俗に「惚れ薬」。
 江戸の四つ目屋で売ったので「四つ目薬」と呼ばれた。
2004/9/19 8824
ふわふわにしても因果の骨となり

外郎を付けてくんなと好きな下女

好きな下女透頂香の近所なり

ういろうの台詞宿屋の嬶読み

うろたえて外郎餅を鬢へつけ
2004/9/19
   上え下の真っ黒になる縁遠さ
 上はお歯黒 逆説的な云い方効かせたバレ句だね。
 亭主持ちはお歯黒をしたし、何で下が真っ黒になるのかな?
 使い込むと色素沈着が起こるのか?

   信濃と相模上下の大喰らい
 信濃の出稼ぎの男は大食らいとされていた。相模女は多情者。

   下の口すぐしての来る旅の留守
 過ぎし手に掛けていっている。
 亭主が留守だから昔の手合いがやってくる。
 何だ雄猫と同じか。

   ちょっと見せやれと抜き身を下戸納め
 女がおとこに言って見たら、その気になって下の口に納めたと
 云うことだな。

   雷は馬鹿俺ならば下をとる

   つつぱらぬ代わりに女中うきになり
 女の先走りの水には、流れるとの言葉に掛かっている。
 古語の「浮き」。気分が高揚。

   かさのないものは女の勃えたなり
 かさのない→嵩のない。

   勃やしても知れぬで女罪深し
 男はバレバレ、その点女は、したたかさ。
 女はその気なのに、じらすという手もあるし?

   股倉を牛裂きにする長局
 牛の角=張形。その使用の様を牛裂きとは、凄まじい。
 元々牛裂きは、二頭の牛にそれぞれ手足を繋いで、
 牛を左右に走らせて引き裂く処刑方法だ。

   大小はあれど値段は牛角(ごかく)なり
 張り形を女客に売るときには、大形はくれとは云いにくいものだから、見せるときは大形から先に出して見せるのが法だといわれている。
 値段は大小異ならず、いずれも突っ込み値だ、との句である。

   女のは裂きよいものと天狗云い

   お局はお馬が済むと牛を出し お馬=月経

   お局は牛の(よだれ)を流すなり
 牛のが効いている。牛の角使ってを暗示しているな。
 更に牛の涎か。

   牛の角おとこめかけにさまをかえ
 さま=様=姿

   牛角に暇をくれて縁につき
 生ものに勝る物はなし!?

   牛の角もぐと女が二人出来
 両首 両首なのだから二人で使うように出来ているのだろうに、此ではどちらが女でどちらが男か判らない。
 両方男役と言えば、そうだし。女と云えばそれも正しい。
 この句はそれを言外に云っているのかな?
 もぐ(椀ぐ)とは、もぎ取るの意味だろうけどね。敢えて。

   器にしたがい水牛は売れるなり
 水は方円の器に従うが?
 此ばかりはある程度器に従わないと美味しくないわね。

   【上え下た】俗秘語で上の口、下の口と言う。上戸下戸。

【浮きになり】浮き流れるとの意味の古語。
 思い内に在れば前高くなり、その目だちはない代わりに
 「浮きになる」というのである。

   【牛裂き】処刑方法の一つ

【牛の角】張形の異名。水牛の角で作ったから。

川柳蒼鷺 @ A B C D E F G H I J 179 瓜奴 紅梅 pinaillage2000 歴代川柳 愛-絆集 TOP頁