2004/8/30 8691 投稿者・aosagi123
   日本がひとところへ寄る気味の好さ
 「日本が一所へ寄る」は嬌声の最たるもの。

   御乗初乳母も心の添え手綱
 姫君の初花

   七十五日生き延びるはづかしさ
 俚諺「初物を喰うと七十五日生き延びる」。
 初夜を過ごした花嫁の心境。

   スッポンを見たは宿下がり秘し隠し
 不忍池の出合い茶屋へ男と行ったことは秘密。

   つく芋の際まで濡れるとろろ汁
 長芋。摩り具合によっては液汁が溢れる。

   女の縒れる黒髪は味が妙
 『徒然草』の「女の髪の縒れる綱には大象も繋がれる」。
 縮れ毛の女は味がよい

   師の恩は今に忘れぬ痔の痛さ
 男色。寺小姓。

   赤貝の鰓も抜かせる三會目
 馴染み客への女郎の奉仕。奥底までの探春許容

   大同小異巾着と蛸の味
 味わいはほぼ同じと

   茶でさへも縮れた方が味がよし
 まして縮れ髪の女は
2004/8/30
   @ 芋畑親も子もとるふてい奴

   A 田楽の串にへのこを使うなり

   B 後の親を親ともせず芋田楽

   C 御褒美の出ぬ孝行を亭主する

   D 芋汁は嫌かと義母膳を据え

   E 嫁のへのこをお袋が取り上げる

   F 味なこと養子を娘にあてがわず

   G 子のものは親のものだに嫁困り

   H 狸婆々養子を入れておっかぶせ

   I おかしさは芋田楽で相孕み

   J けしからぬ事は養母が孫を産み

   K とんだ嫁我が子も産めば孫も産み

   L 三千の剥き身一本の串で刺し

   M 母親に娘へノコをかわかされ

 「鰓を抜く」→魚を調理するとき、
 顎の下から臓物を取り出すことで、
 秘語では探春の俗称異名。

   @ 鰓を抜く手先に触る鯔の臍

   A 赤貝をたわけ抉って食いつかれ

   B お刺身の前に土手をばちょっと撫で

   御代番故郷忘れぬ東形
 人里離れた出城の勤番侍。男性用の独楽具使用。

   いいさもう泣くなと亭主拭いている

   おめでたく死にますという姫初め

   娘茶にして十三がどうした
 初花などの噂に、「十三がどうしたのさ」と茶化す

   おちんこもまんこも種々の替え名あり
 天保三(一八三二)年にはすでに此の呼称があった。

   挟み紙碁を打つような指で取り

   口と口臍と臍して物と物

   手の内で問へば答える〆加減 探春に応答

   手めへのは白酒臼だなぁ嬶

   搦め手を攻める野陣のうさ晴らし
2004/8/31
   @ 母の目が皿おさしみもチト遠慮

   A おさしみの前に土手をばちょっと撫で

   B 目と目それから手と手口と口

   C アレおよし遊ばせといううち口へふた

   D 蛤は吸うばかりだと母訓え 婚礼の夜

   E 下直とや云わん搗屋へさしみなり
 大食らいの男に刺身を出しても仕方がない。
 その道の巧者に親嘴は物足りない

   F 茶屋女さしみ作るも申し立て
2004/8/31
   筒長と見へて足袋屋の青い嫁
 筒は足袋の構造。長大な一物で難儀している不慣れな嫁。

   山伏の独鈷くわへる無言の場
 修験道の祈祷の場。山伏は女陰。独鈷は男根。

   壱本の指で二八の箱を開け
 二八=十六。十六歳の箱入り娘を。

   赤貝のぐっと奥には鯔の臍

   人形の跡太棹の乗り地なり
 人形浄瑠璃に太棹の三味線伴奏。探春の後、本番。

   楽しみは其中に有りりんの玉
 論語述而篇「楽しみも亦其中に在り」。
 りんの玉は装入用の閨房秘具。

   顔が火で娘とぼした事が知れ
 初交したことを悟られる。

   女初めて花開く歩き付き
 歩行の仕方にそれが表れる。
2004/9/1
   そのときの女の形はくくり猿
 くくり猿→紙張りの太鼓状の物の下に棒を付け、
 弓なりのバネで猿を弾いて太鼓を鳴らす玩具。

   尻で書くのの字は揉んだ紙へしみ

   白魚の力帆柱引き起こし 弄根

   @ 船が下値で帆柱に傷が付き 安い物買い

   A 帆柱の立ったを寝かす船比丘尼

   B 入船帳へ帆柱の数を付け

   C 帆柱の側で新造船を漕ぎ

   D 得手に帆を掛けて裸の昼寝なり

   E ひねくっている茶座敷の床柱
  「茶」=茶臼交合

   柄に手を掛け又紙を口で取り

   女房を稽古所にする小舞掻き
 小舞掻き→日本の荒壁の下地になる小竹を縄で括りつける
 作業。手先の練習を。

   落ちそうな腹を搦め手から責める
 臨月近い女房とその後ろ取り

   死にいすと言って末期の口を吸い
 遊女の嬌声とその所作。

   乗りそふにすればおやまだお馬だよ
 「まだ月経が終わってないよ」と言う女房の言葉。

   立ち消えするは油の減ったせい 使い過ぎ?

   鉄砲へ行くのは筒の掃除なり
 鉄砲→下級の切り見世の妓に鉄砲の名があり、一つ玉、
 チョンノ間の遊びだった。一回見世なので、
 一つ放しに行くなどという。
 値段は五十文、百文の下級妓がいた。

   @ 大騒ぎ鉄砲見世の玉がそれ 逃走

   A いい玉で鉄砲見世はどんと当て

   B 鉄砲を並べて一丁百に売り

   C 鉄砲で二百置きなは二つ玉 続交

   D 鉄砲が悪く当たって鼻が落ち 梅毒

   E 鉄砲の瑕年を経て鼻へ抜け

   F まずいこと紙鉄砲をしてさせる

   茶の時は亭主の釜へ煮えこぼれ 女上位。

   馬と言や男お馬と言や女
 男女の使い方の違い。男が言う「馬」は使役用。
 女の言う「お馬」は月経の意

   華奢な手で握っては見る湯の加減
 白魚のような御殿女中の白い手で、張り形の温まり具合を

   とろろの出来も擂摺粉木の擂り加減
 擂り粉木の使い方次第で、愛液の浸出具合が左右される

   掃き溜めを泊まり木にする裏出合い
 長屋の裏で素早くこっそり立位で
2004/9/2
   一年に八十四日湯に行けず
 七日×十二ヶ月。当の女たちはこんな計算はしない

   柔らかな手々に甘へて小僧立ち
 転んで起こされる幼児、と言う雰囲気で弄根を言う。

   みな人の愛ずるは五味の外の味
 五味(甘い、辛い、酸い、苦い、塩辛い)とは違った旨い味。

   穴端でおいでおいでは下湯の手
 事後の洗浄は指先で掻い出すように。

   @ うら梯子下湯へかよう女坂

   A 回し(ぼぼ)つまみ洗いをしてはさせ

   硝子(びいどろ)へ白酒をつぐ祭り事
 硝子(びいどろ)=美女。雛祭りの白酒。祭りは交合の異称。

   @ びいどろも割れると跡は水入らす

   A びどろも割れる頃には声変わり

   見ては(さて)興の冷めたるものながら
 女陰は改ためて見ると興味も冷めるが、それでも…

   悔しきは助け船でももうゆかず
 閨房秘具を使用しても、何とも不可能。

   赤貝が飲み込んでいる鯔の臍

   彼の所へ指も親子は手を付けず
 探春では親指と小指は参加できない。

   奥様は真っ青永井右馬の頭
 内臓疾患に陥った長茎の男の妻。

   @ 十三四娘はお馬に乗り習い

   A 初花という新午に娘乗り

   B 太鼓をたたかぬ初午も赤の飯

   C 馬に乗ってる暇も無き苦界の身 女郎

   D なぜでもと鳥居の外におえん待ち

   E 殿様も下女もお馬は鳥居ぎり

   F 浅草を喰っているのは下女が馬
  道草ではなく

   G 淋という下女施しに馬を解き

   H 土手の草濡れたで馬は滑り込み

   I 馬を入れよくならしてる仕付の田

   J なに馬なものだとたわけ者がいい

   K 土器(かわらけ)の豆では馬のまにあわず

   L 放れ馬よくよく腹の立つ気なり

   N 向こう見ず飛ばせた駕篭が馬になり
  付け馬
2004/9/2
   指でにちゃにちゃかき回す鏡磨

   ふんどしが取れてぬらつくえまし麦
 えまし麦=茹で大麦、楕円形の中心に筋(褌)がある
2004/9/3
   虫の内でもひっこいなめくじり
 湿深の最たるもの、舐陰専門。

   割れてたと悟新鉢の声変わり

   又昼間かへと枕を嫁は出し

   紅生姜えんこうぼうのさね頭
 猿候坊は月経の異称。

   不意のお客に嫁は湯を休み

   婚礼の晩痛いとは嫁吉事

   だましたりすかしたりして箱を〆
 箱入り娘を見事に籠絡。

   釜〆の坊主黄袈裟を襟に巻き
 常用すると黄褐色の縞模様が雁首に付く。

   硝子(びいどろ)が割れて白酒流れだし
 硝子(びいどろ)は娘。

   婚礼の明日から客に婿困り

   其の桐も花の咲く頃赤の飯
 娘の生誕記念に植えた桐。花の咲く頃には娘も新花

   祭りの提灯じれている山の神 亭主陰萎で。

   張形師手癖おのれが物に似せ
 張り形を作る職人、自分の物をモデルに。

   たしなんでみても情けなや又孕み
 孕まぬようにしたのに

   北の方ふさがり七日かただがへ
 平安時代の方違えに掛ける。本妻が月役なので妾の所へ。

   そらわれと舌と胸とは同じ寸
 空割れの平均的な長さは3寸。俚諺「舌先三寸」
 「胸三寸に納める」

   チンと言ひなといふように御簾で拭き
 洟垂れを拭うような手つきで・・・

   心待ち嫁は蒲団へ挟み紙

   汗を拭き拭きお祭りはわたるなり

   枕草紙のようにすると寒い 素っ裸の場面が多い
2004/9/4
   蛸壺にまぎれ込んだる大海鼠

   赤染めの夜もやすらはで新世帯
 百人一首の赤染衛門の歌
「やすらはで寝なましものを小夜ふけてかたぶくまでの月をみしかた」に掛ける。月経時も無休。

   新鉢は外から産をする心地 陣痛を堪える心情

   掻き回し過ぎてとろろを擂りこぼし
 入念に捏ねて。

   味の能い蛸が子壺の内で捕れ

   お客あしらひ兄嫁に娘聞き
 手当の法を、男兄弟ばかりの娘。

   恋の闇は顔に灯をとぼし

   柿八年桃栗三年後家半年

   人形に情を移して泣く娘
 人形浄瑠璃に感涙。本意は下から手を入れられて…

   かたぎを割るはめっぽうに骨が折れ
 素人娘は攻略に手間が掛かる。
2004/9/4 8721 2004/9/5
   手足八本からみ付く蛸の味

   母が嫁それゆへ嫁は外で嫁
 居も田楽なので、嫁は外で。

   褌を外し夜角力取り掛かり
 角力は褌を締めて始めるが。

   熱燗で局酔えるがごとくなり
 長局の御殿女中。張り形に湯を入れ人肌以上に温めたので。

   立ては這ひ這えばしたさの出来心 夜這い

   初午に旦那を乗せて下女いなり
 「初午」「稲荷」は縁語。「居なり」は奉公の継続。
 旦那と通じた下女。

   乳母野糞穴恐ろしと蛇は逃げ

   牛を使ってあれさもういっそもう
 「あれさ もう いっそ もう」と嬌声をあげて。

   囲い者にじり上がりに茶臼なり

   @ 囲いものどか食いしたり飢かつえたり

   A 店賃の早く済むのが囲い者

   B 囲い下女二番するほど外す也

   C おさすりを貰ってあとは痛いこと

   淋病は朱硯の水入れるよう 経行中の女と交合

   転ぶは上手三味線はお下手也

   田植女(さおとめ)の股にも早苗一掴み
 田の水鏡に股間が映る。

   新枕段々上へ後じさり
 初夜、痛みに上へ上へとずり上がる。

   出来心野中でとぼす蛍狩

   名が隠居でも陰茎が隠居せず
 老いて益々盛ん

   花火屋の娘すすきのように垂れ
 すすき花火のように、
 シューッと音高く四散するように小便放出。

   口説かれた下女雪隠で心待ち

   かの月のとばちり湯具に星が出来
 「月」「星」は縁語。経水が飛んでシミ。

   人参の太煮吐き出す手桶番
 手桶番は経行中の女。使用後の当て物の形状。
 手桶番→女子経行中の意称。
 元禄の頃から使われたと言われている。
 御殿女中などが月経中は身の汚れとて、
 食膳のことから調度品に手を触れさせない風習があったから、
 かかる女どもを「手無し」と異名した。また、「手桶番」とて、
 ただ番をするばかりという意味で使われた。

   @ 手桶番とは何だなと野暮な奴

   A 来客中門前手桶番が付き

   B うろたえる筈湯上がりに嫁お客

   恥ずかしき嬉しさ怖さ痛さ能き

川柳蒼鷺 @ A B C D E F G H I J 179 瓜奴 紅梅 pinaillage2000 歴代川柳 愛-絆集 TOP頁