その十五 唐紙に耳押し付け聞く玩言かな
助蔵は唐紙の隙間から隣の座敷を覗いて呆然としていた。
喜六が連れてきた女というのは間違いなくお雛である。
あまりに不思議なことであった。
だが、向こうは見られていることに気がついていないらしく、口を吸ったり、かじったりと、さも嬉しそうに戯れている。
うつつを抜かした助蔵がその戯れをおいきに知らせると、おいきも着物の袖で口を押さえて助蔵の膝の上に重なるようにして覗きこんだ。
座敷のお雛は、唐紙一枚向こうの助蔵とおいきに遠慮することなく湯巻を解き、喜六も裸になっていた。
膝を折って座っている喜六はお雛を横向きに膝の上に抱えあげ、首に左手をかけ、右手は股へぐいと割り入れて歓び頭から真ん中あたりを撫で上げている。
さらに中指と人差し指を突っ込んで花芯のあたりをくじりまわし、頬擦りをして口を吸うと、男の腋の下から右手を入れ、左手を衿のあたりに投げかけている女は股を広げて突き出し、舌をいっぱいに伸ばして噛り付く。
ぴったりくっついた女の腰と男の腹の間から、木のようにぴんぴんと張り切った心棒が顔を出していた。
大茎から上はつやつやに熟したスモモのようだ。
お雛はこれを横目で見た。
「さあ、喜六さん、早く入れておくれよ。よくってしかたがないからさ」
「長道中で練れたのじゃろう。三日や四日じゃ気が抜けまい。それ、足をこっちに向けて体をはさまんせ」
お雛は言われたとおりに喜六をまたいで居茶臼の形になると、割れ目へ男の頭を臨ませてやわりやわりと差し込んだ。
先ほどからのくじりでそこは冷汗がぬらぬらしていたので、そのまま際までぬっと入る。
女は顔をしかめた。
「あれもうどうしよう。いいよ、いいよ」
男の衿へかけた手を締め付けながら、はあ、はあと頬擦りして根元をぐいぐい押し付ける。
喜六は少し尻を浮かせて膝頭を畳の上でごりごりいわせながら腰を使った。
「はあ、はあ。いい道具じゃ。こりゃどうあっても上のほうが細やかな味じゃ」
男は三十〜四十回ほど、そうして腰を使っていただろうか。
はあ、はあとやっているうちに、じじじと食い出す愛の印がぴっちゃり、ぴっちゃり、ぺっちゃくちゃと心地好く鳴り出し、息絶え絶えの悶えようはとどまるところを知らない。
いよいよ、交合に実の入るころになったので、二人は目を閉じ、鼻を鳴らし、天空を目がけて突き上げると、吸い入れてはくいしめるの繰り返し。
「あれさ。そこだよ。そこを強く。ああ、もういいよ、やるよ、やるよ」
無言になって出し入れするうちに女は一際、大きな声を上げると、身震いして男にしがみついた。
その奥からぬらぬらとした熱い吐息を男の頭へ幾度となく浴びせかけると、男もたまらずに顔をしかめた。
「それ、それ。こっちもいくぞ。こりゃ居茶臼でやってしまおう」
無言の二人は鼻息だけがせわしくなっていった。
「いくよ、いくよ。ああ、いく、いく」
「いいぞ、いいぞ。私もいく、いく」
出しかけた清水で二人の内股は葛湯をこぼしたようになっていた。
お雛は息を吐いて目を開けた。
「ちょっとお待ちよ。出たもんだねえ」
と言って、着物のたもとを探って紙を取り出し、二人の太股を拭いた。
喜六がたばこを吸いつけてお雛に飲ませると、お雛はえくぼを作って笑った。
「嬉しいねえ。まだ勃然としていてさ」
「今度はゆっくりやらかそう。横になりな」
お雛を押し倒し、自分もその横になると、お雛は男を握った手を離さずに真ん中を広げてあてがった。
そして尻を突き出すように二、三度、腰を使うと何の苦もなくまたぬるっと入る。
「せわしいことじゃ」
喜六は力を入れて大腰を使った。
たちまちそこが際のところまで入った。
「あれまあ、ちょっと探ってごらんよ。みな入ってしまったからさ。中でどきん、どきんとしているよ。お腹とお腹がぴったり合って、気持ちよくって仕方ないよ」
「顔と口もしっくり合ったじゃ」
喜六がお雛の口を吸い寄せると、二人は舌を齧りきるほどすぱすぱと吸い合った。
「子どもがどうぞ一人欲しいよ」
「私に似て女好きな男の子をこしらえてやるから、身に染みてやんなさんせ」
「どうにでも骨を折るのだよ」
「そんなら下ごしらえにかかりましょう」
と言うと、喜六は入ったものをぐっと引き抜き、お雛を四つんばいにした。
突き出させたお雛の尻を持ち上げて覗きこむと、たったいま抜いたばかりのそこは朝焼けの光が射すようにぽかんと口を開け、赤く肉付きのよい秘境の襞が餅のように光っている。
額口は雪よりも白く、饅頭よりも膨れあがった妙開の後ろ姿である。
奥の奥まで拝んだ喜六はたまらずにその股ぐらへ顔を突っ込み、舌を伸ばして周辺から宝芯中までぺろりぺろりとなめまわした。
その気持ちよさにぬたりぬたりと流れ出る暖汁を喜六はさらにすっぱすっぱと吸い込んだ。
お雛は尻をよじり、顔をしかめて額を布団にすりつけた。
「どうぞもう入れておくれよ。後生だからよう。あれさ、じらさずにお前さんといったらねえ」と、泣き声を出してもがくので、喜六はお雛の尻を両手で抱えて例の大物を狙いすますと、すっぽん突きにずぶりぬっと押し込んだ。
お雛は
「はああ」と高い鼻声を鳴らすと、我を忘れて枕に抱きつき、尻を男にこすりつけている。
清水がだらり、だらりと垂れた。
「奥までぐいと入れてよ。毒でもなければ何もかも入れてしまっておくんな」
もちろん喜六は合点と、ずぶりずぶり奥へ奥へと目がけて大腰に抜き差しする。
男が口を強く女の口に押し当てた。
「ああ、どうも、死にそうだよ。これが子どもになるのかね、ああ。いく、いく。お前はまだかえ。一緒におやりよ。ああ、うう」
「思う存分にやりさんせ。私もいまよくなりかかったところだ」
喜六はずぶり、ずぶり、ずぶ、ずぶと突き、女の背中を三つ四つ叩いた。
「それいい、ああ、いい」
「ああ、死ぬよ、死ぬよ、こんなにいいものか。それ、それ、またいく。一緒にいいよ」
二人とも身を震わせての大よがり。
いくつやるのか数知れなかった。
先ほどより唐紙のすき間から覗いていた助蔵は、心がもやもや、股間はピンピン。
無理矢理とはいえ気をやった男がここにいるとも知らずに、交わるほうも交わるほうだし、させるほうもさせるほうだと思っていると、おいきも同じ考えのようで鼻息が荒く、股もびたびたに潤っていた。
たまりかねて助蔵がおいきに無言であてがって押し込むと、頭から根元まで一息に入っていく。
腰を使うと、そこは十分に兆していたので、早くもずばずば、すぱすぱ、ぐつぐつと鳴り出して、止まることをやめなかった。
隣では三番目が始まったようだ。
表の通りから九ツ(夜十二時)を知らせる拍子木を打つ音が聞こえてきた。
◆
藤枝屋の後家・お雛はもとは古市(大坂)の芸子で、喜六がそちらにいたころから深い馴染みの仲だった。
しかし、喜六が些細ないざこざからそこにいられなくなったとき、従弟の藤枝屋の与兵衛に取り繕ってお雛をその妻にさせ、自分は江戸へとやってきた。
与兵衛が死んでからお雛は喜六を婿に迎えるためにいろいろと手をまわした。
もとより喜六は身内なので親類は相談して喜六に藤枝屋の跡目を継がせることを決め、その披露と助蔵を遠ざけるために善光寺参りをし、かねてからの希望だった江戸見物をかねて喜六を迎えにやってきたのである。
お雛から手紙でこの相談を受けた喜六は、上方へ行ったことにして、おいきの浮気性が出るのを秘かに待っていた。
すると、ようやく男を引っ張りこんだという知らせが隠し目付にしておいた下女から寄せられたので、助蔵より四〜五日前に江戸に入って宿屋に泊まっていたお雛をこの夜、連れてきたのである。
だが、まさか助蔵がここにいるとも知らずによがりによがったお雛は、翌日、助蔵と顔を見合わせてびっくりしたが、助蔵は喜六に内緒でおいきを盗んだのみならず、女はもちろん住まいから世帯道具の一切をそのまま貰い受けるという恩にそれとは言い出せず、四、五日あまり、お雛のことを素知らぬふりをしていた。
その十六 花の腎飲むほどに気やる夫婦かな
粋野半七は、梶原家に奉公して家老・好山記内の取持ちとなって出世の糸口をつかんだ。
そればかりか、このほど好山の一族に断絶した家があるのを半七に相続させ、姓はそのまま粋野を名乗らせた。
先祖の祭りなどはしなかったが、その家を相続したことで家老の家筋となったので、二百石の俸禄を下され、さらに梶原家の若殿の手蹟の指南学問の講釈役となって、さらに百石が加増されて都合三百石の知行取りとなった。
とんとん拍子に出世できたのはすべて記内の計らいである。
こうして寝酒が楽しめるのも記内のご恩である。
半七はお花と夫婦差し向かいで酒を酌み交わし、半酔いの上機嫌のとき、
「記内が世話をしてくれるのもお花、そのほうの胸ひとつ」と言い始めたので、お花は形を改めた。
「いまおっしゃったお言葉でだいたいご推量でございましょうが、わたしのせいで浪々の身となってからやっと得た身代です。もとのあなたまさにさせたいと思い込んだ一心から、惚れたというのを幸いにご家老さまの枕の相手に……」
「おっと、よいよい。命をよこせと言われたら、上げねばならないご恩のあるお方だ。人のを取れば人から取られるのは、助十郎さんの報いだと思えや仕方がねえ。尾羽打ち枯らした半七がいまのように出世できたのはそのほうのお陰。貞操を破って操にかなう貞女の鏡はここにある」
半七がお花をずっと引き寄せ、股ぐらに手を差し入れたそのとき、障子を隔てた向こうから下女の声が聞こえてきた。
「あのう。お床を敷きましてございます」
「さようか。よしよし。それじゃすぐに寝てしまおう」
半七はあとをそのままにしてさっさと閨へ行ってしまった。
残されたお花は、下女に酒、肴などを下げさせ、自分は何かの用を済ませると、寝間着に着替えてせわしげに寝床へ入っていく。
寝てしまったらしい半七の体にもたれかかり、頬がくっつくほどに半七の顔を覗きこんだ。
「あれ。もう寝入りだよ。じれったい」
お花が肘で肩を揺するので、半七は目を開けた。
「ああ、いい気持ちに酔ったが、何か一口飲みてえの」
お花が
「はい」と火鉢にかけてある鉄瓶の湯をくんで出すと、半七はうまそうにぐっと飲み干した。
「さて、起したご用というのは……」
「あんなことをしかけておいて憎らしい」
「いつこの手をそうやったっけ」
半七はとぼけると、お花を布団に引っ張り入れた。
湯具をまくって前を開き、探り始める。
「あれさ。つまらないことを」と言いながらもそこは早くもピクピク、ぱくぱく、ぬらぬら。
二本の指でくじり、その回りをこねまわすと、湯のような熱いものが爪の際にぬるぬる染み込み、だんだんにくっちゃくっちゃと音を立て始める。
女は男の前を開いてそっと握り締め、指の腹でそろそろと撫でると、先から涎のようなものが出てくる。
お花は目を細めて息を切らした。
「さあ、入れておくれよ」
男は女の片足をすくい上げ、横からぐっと割り込むと、待ちかねていた女は仰向けになって股ぐらをいっぱいに広げる。
男が乗りかかった。
はずみきった大持物の切っ先を真ん中に臨ませると、まだ入れてないというのに女はしがみついて、玉院をしきりにすりあげてくる。
その拍子に半分ほど入ったので、女は腰を持ち上げて根まで吸い入れた。
尻を左右のよじる。
「おお、うれしい。奥まで届いてピクピク動きますよ。今夜はなんだかいつもより太くなったねえ」
「お前のはまた広がったぜ」
「そりゃ出したからだあね。広くっても狭くっても、お前よりほかに心から情は移さないよ。こいつでやる水は底の底から出るのだから、広くなっても堪忍おしな。さあ、まあお待ちよ。拭くからさ」
お花が根元から奥まで掃除をしてすぐ真ん中にあてがってくるので、半七はぐっと力を入れて押し込み、初めから高腰にすっぽすっぽとやり始めた。
すでに水気を吸っていた玉なので、穴の中の百襞が根っこに吸い付いて、抜こうとするたびに女の体が持ち上がる。
額口を押し付けながら、指の腹で真ん中を撫で上げて突き立てると、女はたまらずに悶えた。
「あれ、ああ。いいよ。そこをなでられると気が遠くなってくるよ。おお、いい。どうしよう。ふん、ふん。いいよ。きつく抱いておくれ。あれ、いくいく」
お花が腰を振るたびに花芯の左右の肉で根元がこじられるので、半七はもはやこれまでと大汗をかいて突き立てる。
お花はぬるぬる続けやりて、ただひいひいとよがり泣くばかりだ。
「ああ、これじゃこっちもたまらねえ。玉茎をくわえて引くようだ。ああ、それ、それ、いくぞ、いくぞ」
と二人ともどっくどっく、ずきんずきん。
無言になって一緒に気をやった。
ふうと一息はいて、ぬらめく水を拭こうとお花が取り出した紙に何やら書いてある。
半七はそれを取って読んでみた。
『弁慶と小町は馬鹿だなあかかあ』
(生涯、女を寄せ付けなかった武蔵坊弁慶と男を寄せ付けなかった小野小町は馬鹿だよな、こんないいものを知らなかったんだから。なあ、かかあ)
◆
その日の夜ふけ、半七方に殿より『翌朝、出仕せよ』という招状が届いた。
何事だろうか。
半七が翌朝、指定された時刻に出殿すると、家老から申し渡された。
「そのほう、いまだ無妻のよし。幸い、奥方お手元に仕える豊波という女子がいる。この者を女中頭藤江殿の娘として同人より化粧料(持参金)んに十二十石、縁女にそえて半七方に送るべし、との御意である。ありがたくお請けいたされよ」
申し分のないねんごろな内容に、半七は平伏した。
「冥加にあまる身の大慶。御前よりしくお取りなし申し上げる」
昔にまさる身の栄に、お請けして半七は退出した。
だが、その帰り道、ゆくゆく考えてみれば、かくも申し分のない取計いはすべて記内のお取りなしであろう。
深いご恩ではあるが、当惑することもある。
お花のことだ。
つまり、お花がきたとき、お登世の手前、お花を妹ということにしてその場をやりすごしておいたことが、結果的にこの難儀を招いたのである。
主人より下された妻の豊波という女とお花を同じ屋根の下にしておいては、そのままで済むわけがない。
さて、どうしたものか、と思案に暮れていたが、ふと思い付いたことがあり、そのまま記内の方へ立ち寄り、きょうの次第を礼を述べて、実はと切り出した。
「すでに妻女が決まった上は妹のお花は小姑となり、家に置いておいても面倒なので、そこもとさまに差し上げます。ご息女さまのお守りにでもしていただきたく候」
半七は言葉を尽くして願い出た。
記内はもとよりそのつもりだったので、半七との相談は整い、すぐにお花を自分のもとに引き取った。
婚礼の日がやってきた。
粋野の家へ老女・藤江の娘の豊波が立派な鋲打ちの乗り物を玄関にすえつけて入ってきた。
待っていた半七は万事、式の礼を乱さず、三三九度の杯もすみ、千秋万歳を謡い納めた。
さらにお色直しも済み、婚礼の儀は無事終わった。
その夜、寝所で床盃をするときになって初めて豊波の顔を見た半七はびっくりした。
お登世がいるのである。
嬉しそうなお登世の顔を見て仲人役は、さてめでたし、と屏風の陰から消えていった。
床の上の半七とお登世はひしと寄り添った。
「思いがけないお登世さん。びっくりしたか知らねえ顔で不思議な縁の杯ごとだ。実に私あ嬉しかったぜ」
「お前さんのことばかり思っていたので親父さんが感付いたのか、子どものときから梶原さまへ預けられて奥勤めをしていたのに、お目にもかけられず悲しいと思っていたところに、お取り立てのご家中の半七殿へ嫁入りと承ってびっくりしました。しかし、広いお屋敷内のことですから、同じ名前がありはしないかと気が気ではありませんでした。それを見て、お局のおっしゃるには、ご家老さまのご推挙で嫁入り先は実父の調べ、豊波、お前は覚えがあろうといわれましたのを力に本日、参ってみればやはり私が思っていた半七さま。まことに夢のようでございます」
お登世から委細を聞いた半七は、その気持ちの一途さにいっそう可愛さが募った。
「麹町にいたときと違ってこれからは隠れることもない。どれ、女房の手始めに御殿勤めのたまり水をかい出してやろうか」
半七に引き寄せられてお登世は顔を赤らめた。
「何だか誠に改まって……」
「嫌になったということか」
「あれ、もったいない。なにとぞ、これから可愛がって」
お登世はぴったり寄り添ってきた。
そのとき、焚きこんだ梅香の油白粉の残り香が匂ってきて半七の五臓へしみわたり、枝がむっくりと頭を持ち上げた。
すぐに女の股へ手を入れて探る。
すべすべとした柔らかな肌触りで、むっちりした女の白い太股が水を含んでほかついている。
それを半七が指の先で丁寧に撫でると、お登世は息を弾ませ、目をつむった。
男の体へかけた手にだんだんと力が入ってきた。
半七はお登世の足をすくい上げて腰を割り入れ、そこに男の頭を臨ませた。
そして二つ、三つ腰を使ってずぶりと入れると、そのまま女を仰向かせて本手に取り組み、すかり、すかりと突き立てる。
日ごろから憧れていた色男に思う存分突き立てられ、よがり水がだらだらと股を浸したが、女は抱きつくのが精一杯。
初夜なので遠慮してよがる言葉を出さず、鼻息ばかりがすうすう、はあはあ。
尻をもじらせ身を震わせている。
ぬるぬるぬっと水が出るので気をやる印かと男がここにきて強く抜き差しし、浅く刻み、深く入れる。
女の中心をめがけて五つ、六つ突いては抜いて、あたりをこすりまわす。
男がいろいろと手を尽くすので、恥ずかしさもたしなみも崩れて女は心を乱した。
「ああ、もう蔑まされてもしかたがない。よくってよくってたまりません。毎晩こうして下さるのかえ。あれ、嬉しいよ。どうしようねえ。おお、いく。あれ、切ないほどいきます。ああ、ああ」
出入りする音がくっちゃくっちゃ、すっぽすっぽ。
男のものがいよいよ膨れあがり、穴いっぱいに広がった。
女は夢中になり、枕をはずして前髪を男の胸へ押し付け、一段と突き上げ突き上げ身をよじり、体を縮める。
女のひいひいよがる泣き声に、男はそそのかされて茎元からぞくぞくと快くなってきた。
早腰にずっぽずっぽと突き立てて女を抱きしめる。
「それ、いくぞ、いくぞ。いい、いい」
男は生麩のような淫水をどきんどきん、ついついと出口から吐き出した。
「お前もおやりか。おお、うれしい。私もいくよ。あれさ、いくいく。一緒にいくよ」
なじみだけに新枕から互いに打ち解けてよがっていた。
藤兵衛の娘のお登世を半七方へ嫁入りさせたのは、お花が記内に進言して計らったものであった。
以前、半七が麹町へ荷物を取りに行ったとき、裏長屋の空き家で半七がお登世を犯しているのをお花は思いがけず見てしまった。
これで二人の関係を知ったお花は、自分は記内に身を任せ、半七を立身させ、さらにお登世をその妻にさせたのである。