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『スキー教範』―スキーは、一日にして成る―

 一日で、初心者をリフトに乗せ、パラレル・クリスチャニア谷回りをさせようという教え方です。
 初心者が、いかに早く、自由にリフトに乗り、初級者コースを下れるようにするか、というのがねらいです。
 この本は、妙高池の平「長崎ロッジ」の親父、長崎達夫氏に教わったスキーテクニックを主体に書いています。
 「落っこっくスキーに乗ってけ」がその神髄です。
 一日で初心者が、初級者コースをスルスルと下れるようになります。
 初心者が一人で読んでテクニックを覚えようとする本ではありません。
 先生が、生徒に教えるようなスタイルで書いてあります。
 SAJ2級以上くらいの技術をお持ちの方であれば、十分理解ができると思います。
 先生になって、是非、初心者に教えてあげて下さい。

目 次(色文字をクリックして下さい。他は略)
1 スキー場に行くまで (1)スキーの選び方 (2)服装 (3)スキーの持ち方
2 準備 (1)準備運動 (2)スキーの履き方 (3)ストックの握り方
3 歩き方 (1)歩き方 (2)ターン ア キックターン―逆順も  イ ハの字(ステップターン) 逆ハの字
4 登り方 (1)踏み締め (2)開脚 (3)階段
5 直滑降 6 斜滑降 7 山回り 8 谷回り 9 終わりに

5 直滑降〔20m位の長さの緩い斜面、直滑降しても自然に止まれるところ〕
〔教官〕
(1)まず、自然体で滑ってみせる。
(2)高い姿勢で滑ってみせる。
(3)低い姿勢で滑ってみせる。
(4)足を前後にして、体重を前に掛けたり、後ろに掛けたりしてみせる。
(5)足を左、右と横に平行に踏み替えて滑ってみせる。
〔生徒〕
 いろいろな姿勢で、滑ることができるということを知る。
○ポイント シュプールを見て、スキーが横にずれていれば、スキーは、縦方向だけでなく、横にも滑ることを教える。
 横滑りさせないためにエッジングがあることを教える。
○ポイント スピードがでるにつれて、重心を前にする。前傾姿勢を教える。
{同時に教えること} 平地の歩き方 踏み替えによる方向転換 開脚登行 階段登行

 この辺りまでできたらリフトに乗りましょう。初級者コースのリフトで、できたら二人乗りが良いでしょう。
 また、リフトの降り場ができるだけ平らなところが良いでしょう。

6 斜滑降
{斜面に出たら}
 斜面を横に歩く。エッジングを教える。斜滑降と回転の基本姿勢となる「外向外傾」姿勢を教える。
 エッジングを外すと横滑りをすることを教える。
 体重を前方に掛けると斜め前に、後方に掛けると斜め後ろにも横滑りすることを教える。
 横滑りから、再びエッジングすると止まることを教える。

 斜滑降に入る前に、止まり方
(1)斜面に横向きの姿勢でエッジングした状態で立ちます。谷足は、エッジングしたままで、
 @ 山足を肩幅ほど、横に開く。(パラレルに開く)
 A 開いた足を、谷足の横に寄せる。この寄せるとき、スキーは、足の小指で雪面をなぜる感じで
 @ A をリズミカルに、イチ!ニッ!、イチ!ニッと行う。
 〔生徒〕
 足元を見なくても、スキーを横に開き、また、寄せることができる。この寄せたとき、多少横に滑る感覚をつかむ。
(2)次に、(1)と同様に山足を開きますが、このとき、両足ともに立ち上がります。
 また、谷足も山足も斜面にフラットにします。――スッと立ち上がる。一瞬、両方の足の裏で斜面をつかむ感じで。
 続いて、体重は、谷足よりにして、沈み込みながらエッジングをしていき、山足を寄せる。
 この要領で横滑りをして、止まる。このとき、外向外傾、斜滑降の姿勢。
 沈み込みは、スッと。エッジングするときは、ジワジワーという感じで。
 〔生徒〕
 横滑りをして、斜面で止まることができる。

7 山回り
 斜滑降から山回りクリスチャニア
 前記の(1)(2)ができるようになったら、山回りを始めましょう。緩い斜滑降から始めます。
 外向外傾をしっかり取ってまず斜滑降で滑り出し、途中でスッと立ち上がります。
 ほんの暫くそのまま両足均等荷重でスキーに乗っかってみます。
 横滑りが始まったところで、スッと谷足に乗り込みながら沈み込み、ジワーッとエッジングをしていき停止します。
 どうです。山回りクリスチャニアができたでしょう。
 初めは、緩い傾斜から。次第に急な傾斜にしていきます。左右とも同様に、行います。

 斜滑降からスキーを斜面にフラットに立ち上がるとき、スキーが直滑降になっていくことに気付くと思います。
 そうなんです、滑り止めの付いていないスキーを斜面に放り投げると、スキーは、先端から、斜面の最大傾斜に向かって、滑り落ちて行きます。このスキーに乗っかっていけば良いのです。
 体重を前に前に、前傾姿勢をとりスピードに遅れないようにすること。前傾姿勢は、膝を前にだすこと。

8 斜滑降から谷回りクリスチャニア
 山回りクリスチャニアでどんどん急な傾斜の斜滑降に入っていくとともに、直滑降も最大傾斜線に近づいていくまで沈み込み動作をしないようにしていきます。さてここで、逆方向に沈み込み動作をしてみましょう。
 そうです、もう谷回りができましたね。

9 終わりに
 自分の子供達3人にスキーを教え、航空自衛隊在隊中には、スキー訓練があれば、初心者訓練に専念し、防衛大学校ワンダーフォーゲル部冬期合宿には、沖縄勤務の4年間を除きほとんど顔を出して、請われれば初心者の訓練を引き受けてきました。スキーを楽しく好きにさせるには、なるべく早く、リフトに乗せてやるようにすること、と考えています。
 勿論、安全に自力で滑り下れるようにすることです。学生時代には、プフルーク・ファーレン、プフルーク・ボーゲン、シュテム・ファーレン、シュテム・ボーゲンといったテクニックは絶対の自信がありましたが、シュテム・クリスチャニアがどうにか。
 パラレル・クリスチャニア、ウェーデルンは?。という感じで、長い間スキーがパラレルにならなかった頃、大分以前に、長崎氏に教えていただく機会があり、教えて頂いたのがこのテクニックでした。以前の長崎ロッジの前にあった低い丘の緩やかな斜面で、氏が、あの大きな身体で、フゥーワリといった感じでパラレルで旋回されたときには、目を見張りました。
 長い間、初心者に対して、SAJの教程にもあるような、ボーゲンで始まる順番でテクニックを教えていました。
 数年前に、このテクニックを一番初めに教えてみてはどんなものかと考えて、実行してみたら、なんと、一日で初心者コースを自由に滑らせることができたのです。
 小学6年生の女子、小学6年生の男子、そしてその母親と弟子が3人に増えました。
 考えてみると、今やどこのゲレンデも踏み固めて平らになっていて、回りやすいこと。
 シュテム系の脚の開き出しよりも、パラレルに開く方が、動きとしても、力のかかり具合としても、楽で、し易いこと。
 また、人間の身体の動きとして、歩く動作にも似て自然の動きではないか。などなど。
 このテクニックは、パラレル・クリスチャニアで、踏み替え、あるいは、立ち上がり抜重による回転のきっかけによるもの、といえると思います。面白いことに、その後、この弟子?が自由に滑っているのを見ていると、教えていないのに、緩やかな斜面でシュテムをやっていたのです。ボーゲンを後で教えてもよいのかと思います。
 ともかく、なるべく早く、スキーに乗っかっていくことを体得させることだと思います。キック・ターンの代わりにプフルーク・ボーゲンを一寸先に教えてもよいかと考慮中。
 私自身、膝がガタガタになってきていますが、パラレルで滑ると非常に楽です。
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