浮雲ふたり      (歌)神野美伽 

浮雲みたいに このままふたり
流れていけたらいいでしょうね
あなたの影を踏まないように
わたしは心で生きてる女
綺麗な愛だけ信じます 

   どんなにそっと歩いてみても
    草履が小砂利にくい込んで
      あなたと私の在り処が知れる
  だけどもうすぐ二人きり
    この裏木戸を抜けさえすれば
      あとはこの世に二人きり 

   今日の綸子は納戸色
   あなたの好きな白椿 淡く儚い手描きです
     柿渋色の帯しめて
      どうせ あなたに ほどかれて…… 

遠くの浮雲 見つめるよりも
近くのわたしを見つめてね
あなたのそばを離れぬように
わたしは心で生きてる女
きれいな涙を信じます 

   襦袢を着たまま抱きしめられて
    身八つのすきまに手を入れられて
      乳房があなたを待ちかねて………
  あなた足袋を脱がせてね
    指がしびれて動かない
      こはぜが上手にはずせない 

   あなたの愛撫と衣擦れと
    私の吐息と風の音
      雪見障子と南天の影 

あなたのそばを離れぬように
わたしは心で生きてる女
綺麗な愛だけ信じます
2004/1/2 投稿者:kotodamakanashi 戻る