サ ヨ ン の 鐘
詩 西条八十 曲 古賀政男
嵐吹きまく 峰ふもと
流れ危ふき 丸木橋
渡るは誰ぞ (うるわ)し 乙女
紅き くちびる あぁ サヨン

晴れの戦に 出でたまう
雄々し師の君 懐かしや
担う荷物に 歌さえほがら
雨は降る降る あぁ サヨン

散るや嵐に 花一枝(ひとえ)
消えて哀しき 水けむり
蕃社の森に 小鳥は鳴けど
何故に帰らぬ あぁ サヨン

清き乙女の 真心を
誰か涙に 偲ばざる
南の島の たそがれ深く
鐘は鳴る鳴る あぁ サヨン

出世兵士を送る途中丸木橋
から転落死した台湾の少女