南 国 情 話
一
岬の風に ないて散る
浜木綿かなし 恋の花
薩摩娘は 長崎鼻の
海を眺めて 君しとう
二 開聞岳の 山の巣に
日ぐれは鳥も 帰るのに
君は船乗り 竹島はるか
今日も帰らず 夜が来る
三 悲しい恋の 舟歌を
歌うて一人 波まくら
あの娘思えば 男のくせに
握るろづかも ままならぬ
四 逢えない人を したわせる
今宵の月の つめたさよ
可愛いあの娘も 長崎鼻で
一人眺めて 泣くだろう