悪 女
詩 曲 中島みゆき
一 マリコの 部屋へ 電話をかけて
  男と遊んでる芝居 続けてきたけれど
  あの()もわりと 忙しいようで
  そうそう付き合わせても いられない

  土曜でなけりゃ 映画も早い
  ホテルのロビーも
          いつまで居られるわけもない
  帰れる当ての あなたの部屋も
  受話器をはずしたままね 話し中

  悪女になるなら 月夜はお()しよ
  素直になり過ぎる
  隠しておいた言葉 ホロリこぼれてしまう
  行かないで
  悪女になるなら 裸足で夜明けの
  電車で泣いてから 涙ホロホロホロホロ
  流れて 枯れてから

二 女の付けぬ コロンを買って
  深夜の茶店(さてん)の 鏡でうなじに付けたなら
  夜明けを待って 一番電車
  凍えて帰れば わざと捨て台詞(ぜりふ)

  涙も捨てて 情けも捨てて
  あなたが早く 私に愛想をつかすまで
  あなたの隠す あの娘のもとへ
  あなたを早く 渡してしまうまで

  悪女になるなら 月夜はお()しよ
  素直になり過ぎる
  隠しておいた言葉 ホロリこぼれてしまう
  行かないで
  悪女になるなら 裸足で夜明けの
  電車で泣いてから 涙ホロホロホロホロ
  流れて 枯れてから