七里ヶ浜哀歌
詞 三角錫子
真白き富士の根 緑の江ノ島
仰ぎ見るも 今は涙
帰らぬ十二の 雄雄しきみたまに
捧げまつる 胸と心

ボートは沈みぬ 千尋の海原
風も浪も 小さき腕に
力もつきはて 呼ぶ名は父母
恨は深し 里ヶ浜辺

み雪は咽ぬ 風さえ騒ぎて
月も星も 影をひそめ
みたまよ何処に 迷いておわすか
帰れ早く 母の胸に

    夢の(ほか)

詞 大和田建樹
昔の我が宿(やど) かわらぬ故郷(ふるさと)
夢の(ほか)に きょうぞあえる
日ぐらし秋よぶ (えのき)の木蔭に
おやのえがお 見んがためよ

()の間にみそめし 昨日の故郷
今はさめぬ 夢のすみか
富貴もおもわじ 名誉もねがわじ
神のめぐみ ながくとおく

雲路(くもじ)にながめし 昨日の我宿
月も風も なれてそでを
うれしさあまりて ねられぬ枕に
ひびくみずの 声もむかし