荒城の月

春高楼の花の宴
めぐる杯かげさして
千代の松が枝わけいでし
むかしの光いまいずこ

秋陣営の霜の色
鳴きゆく雁の数見せて
植うるつるぎに照りそいし
むかしの光いまいずこ

いま荒城のよわの月
替わらぬ光たがためぞ
垣に残るはただ葛
松に歌うはただ嵐

天井影は替わらねど
栄枯は移る世の姿
写さんとてか今もなお
嗚呼荒城のよわの月