黄 塵
詞 藤田まさと
曲 大村 能章
一 月の暗さよ戦野の広さ
  まして名ばかり正太線(せいたいせん)
  敵の弾丸弓手(ゆんで)にうけて
  右の(かいな)で作業する
  兵の艱苦(かんく)を誰が知る

二 ついて来るなと叱ったものの
  支那の子供のいじらしさ
  飯よ飯よで飯盒の飯を
  分けて与えてふと見れば
  故郷(くに)の誰かに似た笑顔

三 進む荒野に砂塵の嵐
  零下十度を夏の服
  燃える心でこの魂で
  今ぞ故国に尽くす身の
  何のこれしき寒かろう

四 夕べ十里は山野の雨に
  今宵十里は風の中
  埃だらけの髭面なぜて
  しばし頑張れ無蓋貨車
  明日はいよいよ太原城