第一高等学校東寮々歌
矢野勘治 詞
楠  正一 曲
嗚呼玉杯に花うけて
緑酒に月の影宿し
治安の夢にふけりたる
栄華の巷低く見て
向ケ丘にそそり立つ
五寮の健児意気高し

芙蓉の雪の精をとり
芳野の花の華を奪い
清き心の益良雄が
剣と筆とをとり持ちて
一たび起たば何事か
人生の偉業成らざらん

濁れる海に漂える
我が国民を救わんと
逆巻く浪をかきわけて
自治の大船勇ましく
尚武の風を帆にはらみ
船出せしより十二年

花咲き花はうつろいて
露おき露のひるがごと
星霜移り人は去り
梶とる舟師は変わるとも
我がのる舟はとこしえに
理想の自治に進むなり

行途を拒むものあらば
斬りて捨つるに何かある
破邪の剣を抜き持ちて
舳に立ちて我よべば
魑魅魍魎も影ひそめ
金波銀波の海静か