sao1.jpg教育フォーラム 「豊かな心を育てるために」 地域教育 H.S

私は、生涯学習のスポーツ講座で学んだことを基に、豊かな心についてお話します。

〈受講の動機〉
 私は、三年前に六十五歳で退職しましたが、退職してからは、健康で長生きすることが家族に責任を持つ私の最大の使命であると考え、家庭菜園で汗を流したり、ゴルフの練習に行ったりと、運動する時間を増やすことで健康を維持しようと思いました。
 しかし、一人だけでする運動は楽しみが少なく、それに、茎崎に二十年も住みながら、町の様子も知らないし、いつも友達がいないという淋しさがありました。
 ですから、町の広報で講座の募集を知ったとき、私は、『わが町茎崎のことを知りたい。
 スポーツで体を鍛え、友達をつくりたい。』という気持ちから、すぐに申し込みました。
 妻や孫達に「その年で大丈夫?」「頑張ってね!」と、冷やかされたり励まされたりしましたが、年寄りが元気なら、家族も安心して暮らせるに違いないと思いました。

〈スポーツで学んだ“豊かな心”〉
 私は、三年間に郷土史・ゴルフ・硬式テニス・ウォーキングの四つの講座を受講しましたが、それぞれに得る所がたくさんありました。
 また、スポーツ講座の受講生は、大半が中高年層の女性で男性は少数でしたが、誰もが初心者なので、みんな仲良く学習することができました。
 私は、特に硬式テニスの講座で、豊かな心を育てる基になることを学びました。
 それは、練習がどんなに苦しくても、一緒に頑張る仲間がいたからこそ学べたことです。
 私達は、練習を重ねる毎にお互いの心のわだかまりをなくし、サーブ・レシーブ・スマッシュと、汗にまみれ息を弾ませながら、励ましの声を掛け合うようにようになりました。
 また、講師が笑顔で解りやすく丁寧に教えて下さったので、私達もよく理解できましたし、「いいわよ、その調子!」などと褒められると、小学生のように喜んでさらに意欲を燃やし、講師の打ち出すボールを必死に打ち返しながら、基礎技能の習得・向上に励みました。
 ダブルス・ゲームの練習では、相手の素晴らしい技やフットワークを見習って、自分に欠けている所を補い直しながら勉強しました。
 さらに、さまざまなフォーメーションを練習しながら、ルールを守ってフェアプレーをすることの大切さや、常にパートナーを信頼し、思いやりの心を持ってプレーをすることの大切さなど、スポーツをする者の大事な心得についても詳しくご指導を頂きました。
 一日二時間の講座は、全員で講師と仲間に感謝の挨拶をし、コートをきれいに掃き均して終わりますが、閉講式の頃には、誰もが満足感と笑顔に満ち溢れ、今では新しい友達を誘ってきて、自主サークルとして活動を続けています。
 私達の自主サークルは、中高年者が多いので、ただテニスを楽しむだけでなく、休憩時間には白内障の手術や脳梗塞で入院した経験など話し合ったり、たまには食事を共にしたりして、お互いの健康を気遣い励まし合う素晴らしい仲間達の集まりです。
 こうして、受講生の誰もがチャレンジ精神と向上心を忘れずに全力を尽くしたとき、初めて自分の体力に自信が持てるようになり、すがすがしい満足感と共に、仲間を尊重し思いやる心も大きく育つのだと思います。
 そして、仲間と協力して得た“健康な体と満足感・連帯感と思いやりの心”こそが、誰もが願っている豊かな心の一つであり、明日への大きな活力になるのだと思います。
 これは、児童・生徒の心を育て協調性のある人づくりを目指す、学校教育の目的とも一致するのではないでしょうか。

〈結び〉
 わが町茎崎は、ここ二十数年間の急激な人口増加と高齢化に伴い、町民の豊かな心を育て和と連帯を図るために、多くの施設や行事と生涯学習講座を設け、私達を待っています。
 私達が人との関わりなしには生きられない社会、そして、ますます高齢化する社会を考えたとき、心の通い合う親しい友達は無くてはならない宝物であり、また、講座に参加することは、その友達を作り、趣味を生かし、豊かな心を育てる絶好のチャンスです。
 ですから、皆さんも講座に積極的に参加するよう、心からお勧めします。
 私は、これからも仲間達と協力してテニスのサークル活動を進め、迎える二十一世紀を明るく元気に生きて行きたいと願っています。
 なぜなら、そうすることが、私の人生の掉尾を飾るにふさわしい心身の健康法であると思いますし、また、町民憲章の“心のかようまちづくり”の精神に応える道だと信じているからです。
 以上で、終わります。ありがとうございました。

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