我が輩は猫である。名前はない。
 飼い主(実は我が輩の召使いであるが)は機嫌が悪いとき”コラ”と呼ぶ。
 機嫌が良いときは”ノラ”と呼ぶ。

 もともと家出して野良で暮らしていたからそう呼ばれるようだが、そのころ自由と楽な生活は両立しなかった。仕方なく空元気だけで本当は淋しい人間を見つけ甘えた声で泣いてみた。
 主人、実は召使いはこれにコロリと騙され家に入れてくれたおかげで雨露と食べ物の心配はなくなった。

 今の心配はやがてこの召使いも病気で入院するときが来るだろう。
 そのとき我が輩の面倒を引き受けてくれる人がいるかどうかである。

 我が輩はそう贅沢な方ではない。
 魚は解凍もの、見切り品、大売り出しの目玉商品以外は贅沢言わず食べる。
 刺身はマグロのトロなどたまにで良い。それも筋が少々混じっていても良い。
 キャットフードも舌平目味の乾燥したもので良い。大きい袋は、初めはよいがそのうち湿って香りが悪くなるので、買うときは小袋の国産品で製造日付が新しいので良い。

 いつもごろごろしているので、家の暖房は22度くらい、冷房は28度くらいが良い。寝床は毛が取れていないそう古くない毛布で1週間に1度洗濯し、よく天日で乾燥してくれるだけで良い。

 こんな質素な生活で我慢している猫なら何処でも飼ってくれると思いますが皆さんどうでしょう。

 考えておいてください。

-TOP-