日本が新型戦闘機を装備すると、航空自衛隊は完全に攻撃型の空軍になり、その行動範囲は中国領空及び釣魚島に及ぶ。
航空自衛隊の戦力は、少なくとも現在までは専守防衛戦力であることは疑いがなかった。
かつての航空自衛隊は、北のソ連には対抗し、西の中国には橋頭堡戦略で対処した。
しかし今日の航空自衛隊は、アジアの宇宙の電磁権(注)を確保しようとしている。
この空軍は、アジアでNO.1の長距離戦闘爆撃機、中距離AAM、空中給油機及びAWACSを装備している。
最近のNHKテレビ報道によると、来年防衛庁は、F-4戦闘機に代わる新型戦闘機を選定するとともに、現在選定する新型戦闘機の性能及び運用方法を検討中であるという。
昨年決定した防衛庁の中期防衛力整備計画によると、2008年以降、老朽化したF-4戦闘機に代わる新型戦闘機を7機導入すると言う。
たった7機であっても、この戦闘機は将来の日本の空軍力にとっては重要である。
なぜならば、この7機は、大規模な機種更新の先駆けとなるからである。
現在航空自衛隊は、100機に近いF-4戦闘機を装備し、迎撃、爆撃、偵察及び電子妨害に使用している。
したがって日本は、導入した7機の戦闘機をテストしたのち、2012年以降、大規模な新型戦闘機への機種更新を行う可能性がある。
日本軍は、長距離作戦を重視
長年にわたる戦略的必要性と米国の協力によって、航空自衛隊の装備と戦闘力は、現在アジアで一、二を争っている。(アジアでは中国と一、二を争っていると言う意味)
装備機数は、1000機前後で、そのうち戦闘機は362機で、機種はF-15J、F-2、F-1及びF-4EJであり、F-15とF-2が新鋭機である。
前者は、1980年代に導入を開始し、現在224機ある。
後者は、日本が1980年代からF-16を目標に設計を開始し開発したものであり、総合性能はF-16を凌駕している。
装備の開発状況から見ると、日本は第三世代戦闘機の開発能力がある。
日本空軍の作戦思想は、第二次大戦後、長期にわたり専守防衛戦略の制約を受け、作戦範囲は領海及び領空内に制限してきた。
しかし1970年代になると、海上の敵攻撃、洋上防空思想が確立されるにしたがって、また冷戦後の軍事戦略の調整及び転換によって、日本空軍の作戦思想は、近距離、領海及び領空内作戦から、逐次遠距離作戦を重視するようになった。
すなわちかつての本土防空作戦を中心とした思想から、遠距離かつ広範囲にわたる海、空域での防空作戦へと転換し、領空以外での敵機撃墜を強調するようになった。
戦時における日本軍の基本的な作戦思想は、1000海里の海上交通線を防護することであり、日本空軍は遠洋防空の戦略方針に基づいて、作戦範囲を1000海里外の遠洋に延伸する。
その際、航空防衛の縦深性を確保するため、できるだけ遠海上空での迎撃、敵機撃墜に努める。
その次は、距岸400-600海里の迎撃線であり、主としてF-15等の主力戦闘機でSAM射程外の目標を重点的に迎撃する。
その後は、距岸80海里前後の迎撃線であり、戦闘機及びパトリオット等のSAMを組み合わせて敵機を近海上空で撃墜する。
航空作戦の戦場を中国領空まで前に押し出そうとしている
日本軍は、このような背景の下、このような作戦思想に基づいて主力戦闘機を選択するであろう。
したがって中国は、日本軍の主力戦闘機の選択に際し、日本軍のアジアにおける重要な仮想敵国として重要な役割を担わされている。
現在日本軍は、中国が180機以上のSU-27、大量のFBC-1及びJ-10等のハイテク戦闘機を保有していると認識しており、日本がアジアの制空権を確保するためには、SU-27、SU-30及びJ-10を戦術的に圧倒できる戦闘機を導入すべきであると考えている。
しかし日本空軍が選択しようとする将来戦闘機の選択肢は多くない。
航空自衛隊の長期計画によると、新型戦闘機に対する要求は、主として次の3つである。
一つ目は、遠距離空対空迎撃能力、二つ目は、作戦半径が1500 KM以上、三つ目は、強力な電子妨害能力及び対妨害能力及びAWACSとの協同或いはAWACSを離脱し独立して遂行できる作戦遂行能力である。
これらの選択基準は、かつての防衛戦略の範囲を超越し、押し出された航空戦場の前縁は、1000海里近く前進し、中国の領海、領空に近づいている。
防衛力整備を一般的に考えると、日本軍は、米空軍が採用したばかりのF-22ラプター戦闘機をまず第一に選択するであろう。
同機は全周波数に対するステルス性があり、中距離AAMを携行、アビオニックスは先進的であり、米国の次世代戦闘機でもある。
また航空自衛隊の選択範囲には、JAS-39等が入っている。
アジア地区に新たな不安定要因が増加
一旦、日本がF-22を導入すると、航空自衛隊はF-15を基礎にしてさらに高レベルの攻撃力を保有することになる。
ステルス性のあるF-22は、B-767 AWACSの誘導の下、迅速に釣魚島等の上空に飛来し、当地区上空の敵戦闘機を制圧し、F-15Jの強力な対地攻撃を掩護する。
F-22戦闘機は、アジア地区に新たな不安定要因を増加させるであろう。
しかし関わりのある専門家は、「航空自衛隊戦闘機にできることは、専守防衛の原則に基づき、迎撃能力すなわち日本を侵略する敵を攻撃することだけに制限されている」と憂慮する。
しかし選択の候補に挙がっている新型戦闘機は、いずれも攻撃力が強く、専守防衛の原則に違反する恐れがある。
日本空軍の装備を見ると、F-15が服役したときからこの原則は既に破られていた。
まして航空自衛隊は、「中国脅威論」を金科玉条として意気盛んに軍備増強に努めているのである。
以上
注:電磁権は、軍事衛星を中心としたelectromagnetic supremacy