蒙古放浪歌

一 心猛くも 鬼神ならぬ
  人と生まれて 情けはあれど
  母を見捨てて 波越えてゆく
  友よ兄らと 何時亦会わん

二 波の彼方の 蒙古の砂漠
  男多恨の 身の捨てどころ
  胸に秘めたる 大願あれど
  生きて帰らむ 希は持たぬ

三 砂丘を出でて 砂丘に沈む
  月の幾度か 我らが旅路
  明日も川辺が 見えずは何処に
  水を求めん 蒙古の砂漠

四 朝日夕日を 馬上に受けて
  続く砂漠の 一筋道を
  大和男児の 血潮を秘めて
  行くや若人 千里の旅路

五 負はす駱駝の (かて)薄けれど
  星の示せる 向だに行けば
  砂の逆巻く 嵐も何ぞ
  やがては越えなん 蒙古の砂漠