二 焼かぬ乾物に半煮え飯に なまじ生命のある其のうちは こらえ切れない寒さの焚火 煙いはずだよ生木が燻る 渋い顔して功名談 すいというのは梅干一つ
三 着のみ着のまま気楽なふしど 背嚢袋に外套かぶりゃ 背の温みで雪解けかかる 夜具の黍殻シッポリ濡れて 結びかねたる露営の夢を 月は冷たく顔覗きこむ
四 命捧げて出てきた身ゆえ 死ぬる覚悟で突喊すれど 武運拙なく討死せねば 義理にからめた恤兵真綿 そろりそろりと頚締めかかる どうせ生かして還さぬ積り