子連れ狼
小池一雄 詞
吉田 正  曲

ルルルルル……
 台詞
小高い丘の城跡の崩れかけた東屋でその子は父を
待っていた。この日の朝には帰るはずの父であった。
それが三つ目の朝となり、四つ目の夜が来て、
五つ目の朝が雨だった。

しとしとぴっちゃん しとぴっちゃん しとぴっちゃん

悲しく冷たい 雨すだれ
幼い心を 凍てつかせ
帰らぬちゃんを 待っている
ちゃんの仕事は 刺客ぞな

しとしとぴっちゃん しとぴっちゃん
しとしとぴっちゃん しとぴっちゃん


涙隠して 人を斬る
帰りゃあいいが 帰らんときゃあ
この子も雨ン中 骨になる
この子も雨ン中 骨になる
ああ 大五郎 まだ三つ

しとしとぴっちゃん しとぴっちゃん
しとしとぴっちゃん しとぴっちゃん


ひょうひょうしゅるる ひょうしゅるる ひょうしゅるる

寂しくひもじい 北ッ風
こけし頭を なでて行く
帰らぬちゃんは 今どこに
ちゃんの仕事は 刺客ぞな

ひょうひょうしゅるる ひょうしゅるる
ひょうひょうしゅるる ひょうしゅるる


涙隠して 人を斬る
帰りゃあいいが 帰らんときゃあ
この子も風ン中 土になる
この子も風ン中 土になる
ああ 大五郎 まだ三つ


ひょうひょうしゅるる ひょうしゅるる
ひょうひょうしゅるる ひょうしゅるる
 台詞
六つ目の朝、霜がおりた。
季節の変わり目をつげる別れ霜が

ぱきぱきぴきんこ ぱきぴんこ ぱきぴんこ


雨風凍って 別れ霜
霜踏む足が かじかんで
ちゃんを探しに 出て行く子
ちゃんの仕事は 刺客ぞな

ぱきぱきぴきんこ ぱきぴんこ
ぱきぱきぴきんこ ぱきぴんこ


涙隠して 人を斬る
帰りゃあいいが 帰らんときゃあ
この子も霜ン中 凍え死ぬ
この子も霜ン中 凍え死ぬ
ああ 大五郎 まだ三つ

ぱきぱきぴきんこ ぱきぴんこ
ぱきぱきぴきんこ ぱきぴんこ