二 極楽寺坂越え行けば、 長谷観音の堂近く 露坐の大仏おわします。
三 由比の浜辺を右に見て 雪の下村(したむら)過ぎ行けば、 八幡宮の御社(おんやしろ)。
四 上るや石のきざはしの 左に高き大銀杏、 問わばや、遠き世々の跡。
五 若宮堂の舞の袖 しずのおだまきくりかえし 返せし人をしのびつつ。
六 鎌倉宮にもうでては、 尽きせぬ親王(みこ)のみうらみに 悲憤の涙わきぬべし。
七 歴史は長き七百年、 興亡すべてゆめに似て、 英雄墓はこけ蒸しぬ。