五木の子守歌
おどま盆ぎり盆ぎり 盆から先きゃおらんと
盆が早よくりゃ早よもどる
おどんが打っ死んだちゅうて
だいが泣いてくりゅうか 裏の松山蝉が鳴く
蝉じゃござらん 妹でごさる
妹なくなよ気にかかる
おどんが打っ死んだら 住環ばちゃ埋けろ
通るひと毎花あぐる
花はなんの花 ツンツン椿
水は天からもらい水
おどんがお父っつあんは あん山おらす
おらすともえばいこごたる
おどまいやいや 泣く子の守にゃ
泣くと言われて憎まれる
ねんねした子の 可愛さむぞさ
おきて泣く子のつらにくさ
ねんね一ぺん言うて 眠らぬやつは
頭たたいて尻ねずめ
ねんねした児に 米ン飯くわしゅ
黄粉アレにして砂糖つけて
子どんが可愛いけりゃ 守に餅くわしゅ
守がこくれば児もこくる
つらいもんばい 他人の飯は
煮えちゃおれどものどこさぐ
おどま馬鹿々々 馬鹿んもった子じゃっで
よろしゅ頼んもす利口か人
おどま非人々々 あん人たちゃよか衆
よか衆よか帯よか着物
おどま非人々々 ぐわんがら打ってさるこ
ちょかで飯ちゃあて堂にとまる
おどんがこン村に 一年おれば
丸木柱に角がたつ
丸木柱に 角たつよりは
おどまはよ暇ンでればよか
おどんがおればこそ こン村もめる
おどんが去たあと花が咲く
花が咲いても ろくな花ささん
手足かかじるイゲの花