その九
さて、三人の男は、これより女官たちと順次交わることになって大いに喜んだ。
さまざまなボボを試して話の種にせんものと魔羅研き立てて待ち構える一方、毛長少正けながのしょうしょう以下の女官たちは広縁に集まり、大無尽の初会のごとく、くじをどうしてこうしてと言いつのる声もかまびすしい。
ようやく台帳へ順番をしたため、三番を一組となし、一組を五琢の番、思庵の番、八の番と小分けにした。
毛長少正は八に当たって思うには、あいつは下手なのか、役立たずなのか、公主さまは一度でお下げになってしまった。
いずれにしても二度とは会えない男の肌なのだから、どうぞして上手な人にしてもらいたいと思ったが、くじに外れてしまったのだから仕方がない・・・
かたや八、公主さまのときは失敗して面目を失ったが、今度は覚えの技を披露して半殺しにしてくれんと、相手の部屋におもむけば、女は毛長少正、年は二十四、五、太り肉じしの色白で、あのところの具合は至極よさそうな女子である。
八 「少正さんか、おれが相手ではご不満だろうが、くじ運では仕方がなかろう。さあ、帯を解きなせえ」
毛長「お前はどうして昨夜公主さまにお嫌われだったえ。なんだか根っからよくないと仰せだったよ」
八 「なに、わっちらァなんたって下司だから、ああいう手も足もねえようなお姫さまは苦手なんだよ。それで向こうもそう言ったのだろう。お前のような意気なのが好きさ」
毛長「ォャ上手をお言いだよ」
八 「上手か下手か、まあやってみねえ」と押し転がして前をはだけると、毛長少正、たちまち上気して手足をかがめてじっとしている。
八が手をやると、その名のごとく陰毛の長さ五、六寸なのが覆いかぶさって、さねがどこやら淵がどこやら・・・。
指で掻き分け掻き分けようやく辿り着いた、玉門の縁をなぞり撫でると、ぬるぬるは陰毛を浸して、白髪昆布をたっぷり入れた鱈の吸い物を味わう心地。
悪くすると毛切れしそうだが、この滑りでは案じることもあるまいと、指先にて毛を分け、節くれ立った一物を陰門に押し当てがい、うむと力をこめれば、両縁の陰毛もろともにずるずると深淵に引き込まれてゆく。
少正はわれを忘れて高声の世迷い言。
「こんなによいのに、どうしてよくないと仰せられたのだろう。ァァいい、いい、気が遠くなった。ァァまた、また、いい〜これきり死ぬのかえ」
子宮こつぼはくわっとふくれあがり、上がり口をぱっくり開いて鈴口を咥え込むと、奥から流れ出す淫水がホカホカと頭に当たる小気味よさ。
八もいまはたまらず、
「少正さん、もういけねえよう」
ドクドクと精いっぱいに吐き出した。
その十
こなた五琢の一番は埋紅舌中嬢うずみざねのちゅうじょう・・・
花の盛りは過ぎたと見えるが、背はすらりと色あくまで白く、目もとに愛嬌こぼれる大年増。
もとより一義は初めてだが、年の功か生来の上手か、五琢の大業物をまともに受けて締めつ緩めつ、腰の回し、上げ下げも玄人はだし。
さすがの五琢もしだいしだいに追い詰められる気持ち。
「お前はどうしてこう上手なのだえ、女護の島にも内証に楽しむ男がいるのじゃないかえ。どうもはじめてじゃねえ。おい、そんなに締めちゃいけねえよ」
強腰にだっくだっくと突き立てれば、中嬢、はや五、六度ほど精をやっていたのが、またも、
「モウ〜モウ〜死ぬ〜あれェ〜また、また〜死にそう〜」
と狂ったように善がり声・・・
五琢「おれもいくいく」と腎水をしこたまはじき出し、女の口に吸い付いてしばし正体もない。
思庵は尨毛小正満重と寄り添っていた。
少正はまだ十五歳。
やりたい気は人に劣らないが、恐さ、恥ずかしさも人一倍で、布団の上に座り、頤うおとがいを襟に埋めて物思いに耽るようにうつむいている。
垣根の姫百合が露に濡れる風情で、愛らしいことこの上もない有様。
思庵「尨毛さん、お前はなんだかいやそうな顔つきだね。いやなら後もつかえていることだし、後の番と替わるかね」
と、じらすと
「いやんいやん」と頭かぶりを振る。
思庵「それでもお前はふさぎ込んでいるじゃねえか」
と、なおも意地悪くいうと、
尨毛「ふさいでいるのではない。なんだか恥ずかしい」
思庵「いやではねえのだな。ではこっちへ来な」
と、首を抱いて口の端を嘗め回し、
「さァ〜舌を出しな・・・」
二、三分ばかりおずおずと舌を出すのを吸うと、だんだんに伸ばして、やがて男の口いっぱいに頬ばらせる。
チューチュー吸いながらぐっと抱き寄せ、片手で内股をこじりあけ、「ァァ」と身悶えるのを捻じ込んで、陰門の縁をそろそろと撫であげると、まだ芽ぐみだしたばかりの薄毛は指の腹に当たるか当たらぬかくらい。
その心好さはえも言われぬ。
思庵思わず身震いしてなおも陰門を探ると、ぬらぬらの中にヒコヒコと指に当たる「さね」の奥ゆかしさ。
長い毛の五、六本生えているのが可愛らしい。
指を二本重ねて差し入れようとしたが入らぬので、中指一本押し入れて、上へ下へとなぞりまわす。
鼻息「スウスウ」の満重の顔を覗き込むと、心地よげに目を細めている。
思庵「どんな気持ちだえ」
尨毛「ああ、いい心持ち・・・」
思庵「それなら入れてみるか」
尨毛「あい・・・だけど痛くないかえ」
思庵「なあに痛てえことなんかあるものか、ちっとばかり痛えかもしれねえが、すぐに好くなるから我慢しな」
と、股をぐいっと押し広げ、惜しげもなく乗りかかる。
びんびんに勃起おえ立った一物の頭から胴まで唾をどろどろに塗りつけて当てがい、ちょこちょこ小腰をつかって、女の顔を窺うと、歯を食い締め、額に皺を寄せている。
なおも、しずしずとあしらうこと二十五、六突き。
するりと亀頭あたまがもぐり込んだ。
女が「ァァ〜」と言うのもかまわずすかすか突けば、さすがの大物も根元まで押し入ってじゃりじゃりと毛擦れの音。
満重はしきりに前に乗り出し、耳と頬を火のようにして、口をあえがせている。
根元まで入れたまま腰を止め、思庵が口を合わせるとごくりごくりと男の唾を呑み込んで、どうやら少し落ち着いてきたらしい。
いっぱいに入れたまま、子宮こつぼの先にぐりぐり当たるように動かすと、膣内はしだいにふくれあがり、ひたひたに潤って、抜き差しの滑らかなこと。
絹漉し豆腐に指を差し込むごとくである。
思庵は、力いっぱい抱きしめてここを先途と突き立てること三十余たび、尨毛少正、精がゆくとみえて総身を震わせてむしゃぶりついてくる。
その愛らしさは何とも言われず、思庵、おもわずどきんどきん、ずきんずきんとと大筒より吐き出す。
たがいの淫水あふれて女の肛門、思庵の陰嚢までぬるぬるびたびたと、ふのりの鍋をひっくり返したような有様。
その十一
挿絵の詞書・・・
(イ)天下の王たる者、民と楽しみを同じゅうすること、女護の島にも変わりはなく、時の帝は仁心深くあられたから、このようによきもの、なんで朕ひとりが楽しまんと、親王摂家より下々の者まで交合の喜びを味わうべしと三人の男を下げ与えなされたが、おんみずからその味わいを忘れがたく思われて、折々におそばの官女に命じてくじらせ、せめてもの心ゆかしとして喜びなされた。
公主「あれさ、そちは下手だの。もっと奥のほうえ入れて、上下くまなくくじるのだよ。ァァそうそう、だんだん上手になってくるの。ァァそこをそこを・・・ァァもっと早く出し入れして・・・ァァ心地のよい〜それそれ〜奥を〜〜」
(ロ)八 「おや、お前さん、がたがた震えておいでだね。怖くはないからじっとしておいでなさい。じきによくなってきやす。しかし、あんまりいやならよしにして、他へまわりやしょう」
女 「ちっともいやではないけれど、こんなこと初めてだから、どうなることか気味悪いが、皆があんなによがるのを見ると、さぞよいものだろう。どうぞ早くよくしておくれ」
(ハ)五琢「なるほど、帝のお妹ごだけあって、うま味が上品で練羊羹を食うようだ。さっきから四ッか五ッはおやりだね。わたしもいきそうだ。どれ一緒にやりましょう」
女 「男というものがこんなによいとは思わなんだよ。なぜこの国にはいないのだろう。どうぞ、これからはよそにまわらずに、毎日々々私とばっかりしておくれ。よい物をたんとあげるから。ァァもう、堪らない心地だよ。体じゅうがしびれるようだ。ァァまた〜いく〜」
(二)思庵「わしを年寄りだと思ってみんな敬遠しているが、棄てたもんじゃねえ。なんとこうしたところは悪かあありますめえ。年寄りは年をとっただけ女に気をやらせる手を工夫していやす。
女 「なんだか知らないが、わたしゃ、よくってよくって体じゅうがとろけるようだよ。ああ、またいきかけるよ。たまらなく心地がよくて。尻のほうまで流れ出して気味が悪いねえ。ちょっと拭いて、また入れておくれ」
(ホ)八 「もう七、八番はやったろう。そろそろいやになったろう、ちっとおいらも休もう」
女 「どうしてどうして、いやになどなるものか、ちっと休んでまたやらしておくれ」
女 「入れられるとじきに気が遠くなって、なんだかびたびたズキズキして水がでるのが、気がゆくというのかねえ、ァァもう、よくってよくって口もきけない・・あれ、またいくよいくよ・・いっそ殺しておくれ・・」
その十二
三人の者の楽しみは限りなく、人生無上の喜びとはこのこと。
上は帝から下は端女にいたるまで洩らさず交合せんと、日々腎薬を舐めつつ励みに励んだが、宮中にだけでも三千の美女がいるとあっては、なかなか回りきれるものではない。
その上年若の者も年寄りも、みな初めてのものであるから、開ボボの味はいの美なることたとえようがなく、ついうかうかと精をやるので、ようやく疲れて、目がまわるやら、足がひょろ付くやら・・・もうけっこうと思うのだが、順番とあっては、女の方で許さない・・・
思庵「わたしゃ年寄りだから初めは皆に嫌われたが、まだこのとおりしゃきっとしている。ひもじい時にはまずいものなしだ」
若い手合いが弱ってきて、このおやじがはやりだしてきたから妙だ。
女 「人はどうだか知らないが、わたしはお前でたくさんだよ。あんまりしゃんとして、すりこぎか松の枝でこすられるようなのはかえって悪いよ。お前のはふわふわしていい気持ちだ。とんと蒸したてのまんじゅうを食べるようだよ。フウフウ〜」
女 「あれま、どうしたんだろうねぇ。今まで元気がよかったのが癪でも起こったのかねえ。もし、気をたしかにお持ちよ。おやおや、いけないねえ」
女 「昨夜からいくつもいくつも責めたから、目をまわしたのかねえ。ほんに忙しくて目がまわるようと言ってたから」
五琢と八は頭痛はするわ、目眩がするわ、手足身内の力もしだいに抜けて、今はもう歩くこともできぬ体・・・
最後までなんとかましだった思庵に群がってきた女のおかげで、べったり弱って寝込んでしまう有様。
残った女たちは、三人のそばに集まってきて、恨んだり、先にすませた者を羨んだり、かしましく騒ぎたてる。
その声を聞けば無念残念、心ははやるが、陰虚火動いんきょかどうの病。
魔羅ばかりがびんびんするが致す気持ちにはさらさらならない。
このことが、朱門公主に聞こえ、典薬頭てんやくのかみが遣わされてきたが、男の病を見たことがない。
ことに腎虚の病など聞いたことがない。
与える薬は「婦人病」の薬ばかり。
三人はしだいに弱っていった。
それでも、女たちは許さない。
番のきた者は病間に詰めて魔羅をいじりまわす。
腎虚の病は魔羅だけはびんびんするから、上に乗っかり開ボボに当てがっては喜ぶ。
三人の病はますます進んで、やがて、はかなく女護の島の露と消え果てた・・・
色事は人生の楽しみの第一ではあるが、強いられては鼻につく。
ついには命にかかわる。
ままならぬ隣の花を遠くに見るこそ風流というものである。と、悟った時、三人、目が覚めた・・・転寝の夢であった。
秋の日の影も傾いて、塒に帰る鳥の群れが軒端に近く「アホウアホウ」と飛んでいく。