2004/3/16 6728 3/17 6741 3/17 6743 3/25 6844・shosuke1919(大阪府)

     女護島宝入船(にょごがしまたからのいりふね) 徳川末安政期一八五〇年頃
巻之中

 一方の思庵と八も、次々と女を替えて、生まれて初めての喜悦にひたっていた。
 その夜、五琢らの床に入った女は、娘から婆ァまでそれぞれ十五人、一晩かかって、一通りは済ませたが、女の方はすきっ腹に粥一口ほどのこと。
 一夜が明けて日が昇ると、事の次第を国王に奏上せずばなるまいと、夜雁遣司ら三人、参内して日本の男子三人漂着の旨申し上げると、国王はことのほか喜ばれ、直ちに召し連れよとの仰せである。
 さればと、五琢ら三名、夜雁、佐世、寿喜に伴われて王宮にまかると、虹の梁、雲の懸け橋、珊瑚の甍、瑪瑙の階、朱の欄干・・・その結構は目をあざむくばかりである。
 堂上に導かれると、折から警蹕けいひつの声と共に中央の御簾がさらさらと上ると、高御座たかみくらに国王とおぼしい、二十歳ほどの方が座しておられる。
 花の顔かんばせは並み居る美女たちより一際抜きん出て、玉を連ねた珱珞ようらくを被り、金糸にて縫った装束をまとった姿は、古今雛を見るような美しさ、愛らしさである。
 国王は「紅顔朱門公主」といわれ、右には、毛長少正黒淵けながしょうしょうくろふち、更に、紅舌赤味広穴さねのあかみひろあなが並ぶ。
 左には、埋紅舌中嬢うずみさねのちゅうじょう、土器滑肌かわらけのぬめはだ、尨毛少正満重むくげのしょうしょうまんじゅうもいならぶ。
 大年増の埋紅舌中嬢が進み出て言う。
「いかに、日本の男子たち。女人国なるこの地に辿り着いたは身の冥加。今宵より、わが君さまのお伽をなしたる後、われらを初め下ざまの者までお流れを頂戴仰せ付けられるが、
この国の定めなれば、さように心得よ。
なお、養生のために、鰻、ごぼうは言うに及ばず、オットセイの生肝なりとも、そちたちの望みにまかせて下さるゆえ、きっと、精を強うしてわが君さまをよがらせ奉れ」
 聞いて三人、奮い立って喜んだ。
 あの古今雛をよがらせよとは何たる仕合わせ。
 その後は下の者といたせとのことだが、ここに並み居る連中も見るからにうまそう・・・
 給仕の女が運んで来たのは、見たこともない器に山と盛った珍味佳肴、酒は一口すれば五臓六腑に染み渡る美酒。
 いつか夕べがせまったと見えて銀の燭台が運ばれてきた。
 三人が起き上がると、埋紅舌中嬢が入ってきて、
「このくじを引きなされ。一番は宵のお伽、二番が夜中、三番が明け方のお伽じゃ。それぞれわが君さまのお気に召すようはげむのじゃ」と、三本のくじを差し出した。
 三人が引くと、一番を八が引き当て、二番を思庵、三番が五琢の順になった。
五琢「おれが夜明けか、そのあいだ休めるが、八公と和尚の大物で、広げられたあとじゃ、据え風呂にごぼうだなあ」
八 「そうじゃありませんや。天道さまもいい塩梅に割り振ってくださるもんだ。いきなり旦那の大物でやられちゃあ、王さまも悪くすると目をまわすから、わっしが小さいので道をあけ、それから思庵さんのでぐっと広げ、最後が旦那の大物で突く。それなら間違いはねえ。へへへ」
思庵「全体新開あらばちにゃ年かさがいいと決まったもんだ。八のでも剣呑けんのんだ。しかし王さまも、もう二十歳だと言う。どんなのを持っていっても怪我するこたあねえだろう」
 と、そのとき毛長少正黒淵けながのしょうしょうくろふちが入ってきて、
毛長「支度がよければ、一番の方、ご案内いたします」
思庵「へぇ、支度はとうからようごぜえます。さあ八公、早く往きねえ」
毛長「ホホホ。一番は八さんかえ。お前はいくつにおなりだえ」
八 「二十七でさあ」
毛長「それじゃあ、もうおかみさんがおありだろうね」
八「なあに、まだありゃあしねえ」
毛長「それじゃあどうぞ、お帰りのときは、わたしを連れいっておくれ」
八 「へえ、ありがてえ仰せで・・・女護の島も油断のならねえ殺し文句を言うぜ」
五琢「さあ、遅くなる。早く往かねえか」
八 「あいあい、さあめえりやしょう」
 八公、胸をドキドキさせながら、毛長についていくと、奥の奥なる王さまの閨ねやは銀の帳を垂らし、唐紙は金色に照り輝き、障子の桟は硝子、珊瑚、その結構さかげんは言葉につくせない。
 厚い金襴、ビロードの布団に座っておられる朱門公主は、先刻とはうって変わって、洗い髪を後ろに垂らし、薄化粧だが紅は濃く、板締め絞りの下着に緋鹿の子のしごき結んで婀娜な姿。
 手にした蒔絵の長煙管から紫の煙が上っている。
 毛長は八を引き入れると、
毛長「御前さま、一番の者、八と申す者を召し連れましてございます」と、言上して引き下がった。
 八が気後れしてもじもじしていると、公主は鶯の初音にも似た声で、
公主「これ、八とやら、苦しゅうない、これへ上がりゃ」
 と、言って手をとられたから、これを機におずおずと布団の上に上がると、
公主「さあ、煙草でものみやれ」と、長煙管を差し出された。
 八はここにいたって腹を据えた。
 今となってひるんじゃ日本男子の名折れと、平気をよそおってすっぱすっぱと吹かすが、根が下司だから格好がつかない。
 公主はじれったげに、
公主「あれ、いまの時は五ッ、そなたはまあ、どうしたというのだぇ」と、身をくねらせる。
 八も据え膳食わぬは男の恥と、いきなり押し転がして前をまくって割り込み、まず手をやってそろりそろりと撫で上げる。
 公主はもう鈴のような目を瞑って、早、スウスウと鼻息もせわしく、あられもなく股を広げてくるくると腰を回される。
 吐淫はまるでトロロ汁をこぼしたように、内股から肛門にかけて滑り浸す。
 八は、すわやと己の魔羅を押し付けるが、ぐんにゃりとして干し大根ほどの硬さもない。
 気持ちが怖じているせいと、気を取り直し、鈴口から雁首のあたりをひねり回して、勃起えよ、勃起えよと励ますが、気があせるほど縮み込む。
 公主はいらだち、おんみずから男の魔羅を握りしめ、ぐいと引き寄させて当てがわれるが、二重に折れて入らばこそ。
公主「これはどうしたことであろう。どうして入れるのじゃ」
 男のいない国だからご存じないのも最もだが、ほてりにほてって、むずむずする陰門の奥を掻き回されたら、よい気持ちだろうと分かるから、公主は早く早くと急かれるが、八の魔羅は急かされてなお縮むばかり。
八 「まあちっとお待ちなせえ。今によがらせてあげますから」と、ぐっと気を沈め、雁首の回りを撫で回せば、ようやく少し硬くなったのを、押し当てがい、小腰につかえば滑り十分だから、一息に根元まで入った。
 公主はァァと息をつめ、両腕で男の背中を締め付け給う。
 八もここぞと五ッ六ッ突き立てると、最前より気を揉んだせいか、早、腎水保ちかねる気色・・・あんまり早いと覚えたが、公主がこの時少しばかり精がいくと見えて、ァァソレと締め付けなされたから、こらえる間もなくドクドクとやってしまった。
 たちまち魔羅は縮まって押し出され、あたり一面ぬるぬるびっしょり・・・・
公主「思ったよりよくはないもの。これならそれほどしたがることではない。ェェ、びたびたと気色の悪い・・・」と、不満げに手水に立ちなされた。
 次の間に控えた毛長、尨毛、土器らが、
「ほんにのう、男の味は知らないが、死ぬほどよいものと聞いている。おうらやましいお楽しみのこと・・・」
 と話し合っているのを、お聞きあそばして、
公主「あれ、とんだ間違いだよ。何事もしてみなければ分からない。もうもうわたしはしたくもない。みんな下げ渡すから勝手にしや」と不機嫌そうに仰せられる。
 みなのもの恐れ入って、
「それは八が未熟のせいかもしれませぬ。いま一度お試しなされまし」と、八を下げ二番の者を連れてきた。
 思庵はさすがに巧の者、大胆不敵。
 ものも言わずに公主を引き抱えると、蕾のような口にがっきと食いつき、チューチューチュー、舌の根がちぎれるほどに吸い上げた。
 公主、たちまち上気して尻をもじもじ、思庵にかじりついてフゥフゥスゥスゥ・・・
 頃はよしと、思庵が内股に手を差し込んで、さね頭より玉門の両縁を吐淫の滑りに乗せて指の腹で撫で回すと、公主、たまらぬ声を洩らして腰をせり上げる。
 思庵、してやったりと乗りかかり、本手に組んですかりと突き入れる大一物、節くれ立って火よりも熱く、どっきんどっきんと脈打つ勢いに、公主は、これこそ噂に聞いた男の味、どうしてこんなにうまいのかと、我を忘れて、
「ァァ、もうどうも、身体じゅうがとろけるとろける」と、よがり泣きに乱れなさる。
 だれに教わったわけではないが、自然の妙というものか、男の腰をしっかと内股に抱え込み、両腕を男の背にまわして締め付け締め付け、ここを先途と尻を持ち上げられる。
 思庵もしだいに高まる心地好さ、渾身の腎水が筒先に満ち溢れるのをじっと堪え、すかすかと突き立てつ、公主の顔を横目で見ると、あでやかな顔かんばせはスモモの赤らんだごとくで、眉間に皺を寄せ、歯をくいしばり、あるいは開けて、死ぬるばかりのよがりようである。
 その様を見るさえ可愛らしく、思庵も今は堪りかね、魔羅をうねらせてずきんずきんと腎水をはじき込めば、この時一段と好かったとみえて
「ァァァァ」と夢中の身悶え。
 しばらくして思庵が身を離し、
「いかがでございました。あまり好くもありませんでしたか」
 と言うと、にっこり・・・
「よかったわえ・・・」と、顔を隠された。
 その所作の愛らしいこと。
 思庵は、いま一度いじめてくれましょうと、また抱きつき、ずぼずぼぐしゃぐしゃ音高く、玉門から浅く深く突き立てれば、公主、ふたたびよがりだし、幾度となく精をやり給う。
 しだいに力も抜け果てて、からむ手足も弱ってきたから、思庵、もはやこれまでと引き抜くと、大一物はまだ萎えず、水甕に落ちた鼠のごとく毛までびっしょり濡れているのを、公主は肌に結んだ緋縮緬の腰巻を解いて、わがものとともに拭って、がっくり打ち伏しなされた。

 ほどなく暁あけの七つ。
 思庵が退出すると次は五琢・・・
 待ちかねた五琢の魔羅は張り裂けんばかり・・・
 五琢の猛攻にさすがの公主も再起不能かと思われたが、翌朝、巳の刻、公主はようやくお目覚めになり、常のごとく朝の膳を召され、湯浴み化粧も入念になされると、さっそく
「思庵と五琢のいずれかを呼べ」との仰せである。
 老女の埋紅舌うずみざねの中嬢が思うに、公主一人が楽しむばかりでは、人びとの気受けも悪しく、叛くものも出かねぬと。
 ここは定めどうり、初めの夜は国王の伽をなさしめ、次の日より官位にしたがい、あるいはくじによって下々にまで男の味を味わわせるべきである。
「これぞ古き諺にいう、色を好んで百姓ひゃくせいと楽しみを同じゅうする道なるを、なんぞ、君一人楽しまるることあるべきや」
 と諌め奉ると、公主も
「いかにも」とうなずかれ、その夜より、老女を初めとして宮仕えの女房たちが一番ずつ試してみることに・・・・

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