2004/6/15 投稿者:kotodamakanashi 戻る
歳月河    唄:ちあきなおみ

昔のままに お前を抱けば
白い花びら 散らすだろ
別れて流れた 春・夏・秋・冬
雁も通わぬ 歳月河に
愛を愛をかき消す 風が吹く

  
電車は大きくカーブして
  高架の下には山手線
  このまま降りなきゃ海まで走る
  私は身体を熱くして
  私鉄の改札すり抜ける
  あなたへの階段駆け上る

女は今の暮らしに 馴染み
可愛いがられりゃ それでいい
男はさすらい 春・夏・秋・冬
酒の河だよ 歳月河は
飲んで飲んで忘れる 事ばかり

  
ドアのロックももどかしく
  服を脱ぐのももどかしく
  もつれ倒れる絹の海
  首筋へのキス融かされる理性
  ほとばしる熱い沼地に踏み込む鉄槌
  このまま繋がっていて永遠にと叫ぶ
  四肢にひろがる痙攣の余波
  わたしは悦びをどれ程表せているのだろう

襟元合わせ うつ向きながら
誰のものでも ないと泣く
お前は命さ 春・夏・秋・冬
橋を探そう 歳月河に
愛の愛の名残りの 月が出る

  
今二人は高層ビルの束の間の住人
  あなたに寄りかかって見下ろす地上の星々
  足元の光の散華 遠くのタワー
  あなたは何度も鼻をかむ
  「鼻の中までいっぱいになったよ」
  私の愛液 脳髄に届け
  あなたの意識に潜り込み
  夜間飛行に連れてゆけ